眠らない街……異頭流町……
ここには女性達を魅了してやまない1つの店が存在していた。
「はじめまして。
私は当クラブ・デイブレイクのオーナー、ランドルフです。
本日は当店をご紹介いただけるとの事で、大変光栄に思います」
カメラを前に、オーナーランドルフ氏は素敵な笑みを浮かべた。
噂によると彼は、かつてこの街のNo.1ホストだったそうだ。
確かに、そう言われてみると、どこかそんな雰囲気を漂わせている。
「まずは、アルゴルから紹介しましょう」
オーナーランドルフ氏に連れられて向かった席には、白いスーツを身に纏った色白の青年の姿があった。
「はじめまして、アルゴルです。
話を聴くのが好きだから、ボクになんでも話してくれると嬉しいな」
アルゴルはそう言いながら、優しげな笑みを浮かべた。
彼はおそらく、正統派王子系ホストなのだろう。
だが、まるで人形のように美しい全身からは、どこか神々しく、どこかミステリアスな雰囲気が漂っていた。
「……そんなに見つめられると恥ずかしいな。
でも……どうせなら、ゲームで楽しもう?
にらめっこ……目を反らしたら、負け、だからね?」
そう言って、アルゴルはカメラを見つめ続けた。
その瞳に見つめられて、ついついカメラマンまで恥じらってしまう。
それだけの美しさがアルゴルには存在していた。
「ふふっ、いつでもボクに、会いに来てね?」
次にオーナーランドルフ氏が案内した席には赤い長髪を束ねた、男性が座っていた。
男性はスーツとシャツをはだけており、そこから覗く胸板がセクシーで、そしてワイルドな雰囲気を醸し出していた。
「サビクだ。
刺激が欲しいならこの店に来ると良い。
忘れられない夜にしてやるぜ?」
そう言ってサビクは大人の余裕を含んだ笑みを浮かべた。
彼はワイルドではあるが、俺様タイプではなく、むしろさりげない気遣いを忘れない、兄貴肌の男のようだ。
「どうした、甘えたいのか?
……ったく、しょうがねぇな。
今夜はとことん甘えさせてやる、だから明日からまた頑張れよ?」
そう言ってサビクはカメラの頭上に手を伸ばし、頭をポンポンとする仕草を披露してくれた。
「お前が抱えてる悩みや不安を、俺と酒が忘れさせてやるよ」
最後にオーナーランドルフ氏が案内した席には……ハロウィンの仮装なのだろうか?
仮面を身に付けたホストの姿があった。
「……何を見ている……?」
仮面のホストはそう言ってカメラを睨み付けた。
「ルファク、説明しただろう?
店を紹介するために撮影してくれてるんだよ」
ランドルフ氏が穏やかに説明を行うと、ルファクは仕方ないと言わんばかりの空気を放ちながら口を開いた。
「……ルファクだ」
そう言って、ルファクはカメラの前から立ち去ろうとした。
「ま、待ってくれよ、ルファク!
もう少し、愛想良く……」
「愛想良いのがお望みなら俺はやめておけ。
後悔する事になるぞ……」
ルファクの放つ、近付く者すべてを傷付ける刃のような雰囲気に、カメラマンは「これが中二病なのか」と痛感した。
立ち去ろうとするルファクに「少しだけマスクを外してもらえますか?」とカメラマンは依頼した。
「……俺の素顔が見たいだと?
それならまずは店に来い。
貴様が俺を、楽しませる存在なら……いつか見せる日もあるかもしれん」
ランドルフ氏によると、彼は無愛想で気難しい性格だが、自分の客にはオリジナルカクテルを振る舞うなどのサービスをする事もあるのだという。
彼の氷の心を溶かしたい!
そんな女性は要チェックだ!
「デイブレイクはいつでもお客様のご来店をお待ちしております」
クラブ・デイブレイク
アクセスは……
※
酒場「デイブレイク」で、乙女の心を持つイルは、幸せそうな顔をしていた。
「どうしたんだい?
今日はずいぶんご機嫌だね」
ランドルフがイルに話しかけると、彼女(?)は、「なんでもなーい♪」と幸せいっぱいな笑顔で答えた。
妄想に胸踊らせ、うっとりしているイルを見て、「世界には色々な人がいるものだ」とランドルフは1人感じていたのだった。
(後書き)
やっぱりオチはそれなのさ!
書いてて凄い懐かしい感じでした。
こんなですが、昔そういうゲームのシナリオやってましたからねw
1. イルさんの妄想力は是非とも見習いたいところ(ぇ)
私の住むところでは大抵見えないので泣けてきますね。
オリオン座が見えれば御の字レベル。
でも、今宵の月は結構綺麗に見えました。 酒がうめぇ…
にらめっこ勝てる気がしないわ… 絶対途中でニヤけますわフヘヘw
アルゴルはやっぱり聞き上手なんでしょうね。
> お前が抱えてる悩みや不安を、俺と酒が忘れさせてやるよ
あれあれ、サビクさん? そのお言葉に甘えちゃっていいんですか?
私は堕落してるので、本当に記憶飛ぶまで酒飲んじゃいますよ?(オイヤメロ)
> 心の心
片方は「氷」ですかね?
ルファクのオリジナルカクテルは気になるところ…!
イルさん、あなたは神か…!?
ランドルフさんも、まさか自分が元No.1ホストにされてるとは思うまい…w
Re:イルさんの妄想力は是非とも見習いたいところ(ぇ)
なお、アルゴルに勝利するとお願いを1つ聞いてもらえますw
聞き上手だと思いますよ、趣味が話を聞く事なぐらいですからね。
(これは物語開始当時アルゴル側からほぼ何も話せないというのがあるのですが)
>あれあれ、サビクさん?
甘えても良いですが、記憶が戻った時には高額を請求されそうですねw
サビクはザルですから、飲み比べとかはやめた方がよさげです。
>心の心
お恥ずかしい…修正しましたw
なお、オリジナルカクテルを振る舞ってもらうには何度か通い、親しくなる必要がありますw
>あなたは神か…!?
S.S.S.では一番高い妄想力を持っているのは確かだと思います。
ランドルフさんは謎が多いので妄想のしがいがあるのかもしれません。