世界はいくつもの「もしも」によって出来ている。
これは、無数に重なる分岐点によって生まれた異なる「星の絆の物語」。
※
燃え盛る炎 を、 が うように していた。
「ま …終わりじゃ い… だ……まだ……まだ……」
炎の勢い える事なく、 を、そして廃墟 き付く としていた。
かし、それでも は必死で前進 けていた。
「も …もっと もっと……強く……!」
と炎を黒い 包み込み…… 、消えた。
※
ボクは、何もない、真白で殺風景な部屋で横になりながら、自分の右手を見ていた。
「……」
声が聞こえる……誰の声だろう……?
「あのね、この本……」
「喧嘩でもしたのか?」
「わたしもいつか、兄さんみたいになれるかな……?」
「お前には期待してるんだ……裏切るなよ?」
「いっしょにあそぼ!」
「人間には、前に進むために足があるんだ」
「貴様には関係のない事だ」
「……なんだ、簡単じゃないか」
「よかった、無事……なんだね」
聞き取れないほど、いくつもの声が聞こえ……そして、消えていった。
気が付くと真白だった部屋は、暗闇と静寂に包まれていた。
誰もいない、暗闇の中で、誰かの声が聞こえた。
「……アル ル……
……ア ゴル……
……アルゴル……」
ボクは何故か、その「アルゴル」という言葉に、懐かしさを感じていた。
「……さぁ、終わりの続きを始めようよ」
※
首都から近い、ある衛星都市に最近出来たばかりの酒場があった。
酒場の名は「デイブレイク」……「夜明け」の名を持つこの酒場の奥で、店主「ランドルフ」は白髪の青年の看病をしていた。
「……どうだい、調子は?」
「……相変わらずです……
すみません……ご迷惑ばかりおかけして……」
ベッドに横になったまま、白髪の青年が申し訳なさそうに謝罪した。
「気にしなくていいさ。
困った時は助け合う……そうやって人は生きていくんだからね」
ランドルフは優しい笑顔でそう言い、白髪の青年を安心させた。
「……そうだ、ランドルフさん……
さっき、夢を見たんです……」
「へぇ、どんな夢だい?」
「……それが……よくわからない夢でした。
真白な部屋で、ボクは横になりながら自分の手を見ていると……
段々と周囲には何もなくなって、暗闇に包まれているんです……」
白髪の青年は、少し寂しそうにそう語った。
「それは確かに、不思議な夢だね」
「でも……どこからか、「アルゴル」と呼ぶ声が聞こえました」
「……アルゴル……それがお前の名前なのか?」
「……わかりません。
……でも……確かに、なんだか懐かしさを感じる名前……です」
青年はそう言って、困ったような笑顔を見せた。
「それじゃあ、今からお前はアルゴル。
アルゴル・ランドルフ……はちょっと違うか。
……じゃあ、俺の親の旧姓を借りて、しばらくはアルゴル・シーラという事にでもしておこうか」
ランドルフはそう言って微笑んだ。
つられたように、「アルゴル・シーラ」も小さく微笑んだ。
(後書き)
前々からやりたいやりたいと思っていた、S.S.S.再構築版のプロローグよりもさらに前の部分のお試し版です。
物語が始まってすらいない。
Side:Shadowと名付けた通り、こちらは公式なS.S.S.とは違う、公式S.S.S.が光ならば、こちらはそこから生まれた影の話…言ってしまえばフェイクのようなものです。
S.S.S.は繰り返す物語ですが、そのループの1回ではなく、完全なるパラレルワールド。
同じ要素もありますが、色々と異なる部分が出てくる
…つもりでいますが、実はこれを続けて良いものか決めかねているというw
ざっくりとした構想はあるにはあるんですが、いかんせん、長くなりそう。
仕事とは別にプライベートでちゃんと完結まで書かなきゃならないのはなかなか重たい。
(ショートストーリーは1話が短く、そこでまとまる分、楽な気持ちで書ける)
そして…完全なるパラレルな在り方が皆さんに許されるのかどうかという問題や、決まった主人公を登場させる事…
色々、悩んで、悩んで、とりあえず様子見でここだけ公開したのが正直なお話ですw
今ならまだ引き返せますからw
続き…見たいものなんでしょうか?
この話が続くかどうかは皆さん次第ですw
ご意見、お待ちしております。