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Side:Shadow 15「癒えない傷」


Strong Stars Story
  Side:Shadow
   15「癒えない傷」

俺とレナ、レオン、フォルトゥナの店長は真犯人の手がかりを求め、
手分けをして街中で情報を集めていた。

サビクはよく煙草を吸っていたため、俺は煙草を扱う小さな店を訪れていた。

「サビクとは俺も1年近い付き合いになるが、
 あいつは身内のものを盗むようなヤツじゃない……保証するよ」

そう語るのは煙草屋の主人だった。

「……そういや、昨夜サビクは賭場に行ったハズだよ。
 本人がそう言ってたから」

主人の言う事が確かならば、サビクの無実を証明するための情報になり得る。
俺は主人に礼を言い、 街外れにある小さな賭場へと向かった。

案の定、賭場で聞き込みをすると次々とサビクの目撃情報が集まり、
昨夜サビクは大金を得て帰っていった事がわかった。

……なるほど、サビクが持っていた大金はコレだったのか。
これでほぼサビクの無実は確かなものと言えるかもしれない。

あとは、真犯人を見つけるのみ……





俺が賭場を出ると、レオンが俺を待っていたようだった。

「近所のおばさんに聞いたんですけど、
 ちょっと前に赤毛のカツラを欲しがってる人がいたみたいなんです!」
「サビクに罪を着せるために、あえてなりすました……
 その可能性があるという事か……」

俺とレオンがそんな話をしていると、慌てながらフォルトゥナの店長が駆け寄ってきた。
どうやら、腕を負傷しているようだ。

「叔父さん、その腕、どうしたの!?」
「そんな事より、大変なんだ……レナが……
 レナが……ッ!!」





街を出た俺は、当てもなくただ歩き続けた。

しばらく歩いたところで小さな町を見つけ、酒場にでも立ち寄ろうとしたところで、
俺は所持金を全て、フォルトゥナに置いてきた事を思い出した。

無計画に飛び出した自分を嘲笑いながら、その町を去ろうとしていると、
俺は聞き覚えのある声に呼び止められた。

「……待て」

振り返るとそこには、仮面を身に付けた金髪の男が立っていた。
その仮面に見覚えはないが、この男が何者であるかを、俺は瞬時に理解した。

……間違いない、俺が良く知った男だ。

「……久しいな。
 俺はこれから食事の時間だ。
 付き合う暇はあるか?」

俺は、仮面の男の誘いに、右頬の傷をそっとなぞりながら 
「良いぜ、お前の奢りならな」
と返した。





料理が来るのを待ちながら、俺達は何を話すでもなく、互いに沈黙を続けていた。
しばらくぶりに会ったというのに、相変わらず自分のペースを崩さない男だ。

「……お前も今は、1人なのか?」

俺がそう問いかけると、仮面の男は小さく「……あぁ」と返した。

「だが、それは俺の台詞だ……
 お前こそ、まさか1人でいるとは思わなかった」

その言葉が何を意味するかを察した俺は、自嘲するように小さく笑った。

それから先、俺達は特に言葉を交わさずに、
運ばれてきた料理をただ、静かに食べ続けた。





「……悪いな、本来なら俺が奢ってやるべきなのに」

食事を終えた俺は、頭をかきながらそうこぼした。

「……気にするな。
 そろそろ俺は行く……一刻も早く、全てを終わらせるために……」

そう言って、男は俺の分も支払いを済ませ、店を出ようとしていた。

「助かったぜ、ルファク」

「……今の俺に、その名は相応しくない。
 俺はもう……あの頃の『ルファク』ではない……

 過去を失った1人の断罪者だ……」

そう言い残して、ルファクは店を出ていった。

「……お前だけじゃねェよ……
 俺だって……変わっちまったさ……」

誰に話しかけるでもなく、俺は1人、そう呟きながら
火のついていない煙草をくわえ、天井を見上げた。

これからどうするか……
そんな考え事をするフリをしながら、ただぼんやりと天井を見上げていると
ルファクではない、見知った顔が店へとやってきた。

「サビク、すぐに街へ戻る準備をしろ」

そう話すのは、テンジという冒険者だった。

「……言ったハズだぜ。
 俺はもう……」

俺の言葉を遮り、テンジは真剣な表情で「聞け」と言い放った。

「レナが連れ去られた……
 ブラック兄弟という奴らに……!」

「なんだと……?」



(星七号の独り言)
仮面の男の名前がついに明かされましたね。
(本家S.S.S.をご存知な方々にはバレバレでしたがw)

今回の話はちょっぴり短いですが、ここから後半戦へと突き進んでいきますよ。
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星七号
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