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Side:Shadow 16「くすぶる心」


Strong Stars Story
  Side:Shadow
   16「くすぶる心」

時は少し前に遡る。

俺とレオンがそんな話をしていると、慌てながらフォルトゥナの店長が駆け寄ってきた。
どうやら、腕を負傷しているようだ。

「叔父さん、その腕、どうしたの!?」
「そんな事より、大変なんだ……レナが……
 レナが……ッ!!

 ブラック兄弟に、連れ去られた……!!」

「……ッ!?」

ブラック兄弟と言えば、レナやレオンが話していたこの街の厄介者の事だ。
フォルトゥナで問題を起こしたところをサビクが追い払ったのだという……
それ以降は表だった活動をしなくなっていたらしいか……

なるほど、そういう事か……
俺が理解したと同時に、店長は状況を説明しはじめた。

「……どうやら店の金を盗み、サビクを犯人に仕立てあげたのも奴らだったらしい。
 奴らのボスがレナを妙に気に入っているとは聞いた事があったが、
 奴らはサビクがこの街を出た事を知り、
 武器を持って店へと押しかけ、レナを連れ出そうとした……

 俺は必死でレナをかばったが、腕をやられ、その間にレナは……」

悔しそうに店長はそう語っていた。

「……許せない……!
 絶対に、許さない……!!」

レオンは険しい顔で、怒りをあらわにしていた。
レオンが怒るのも無理はない。
ブラック兄弟は、いくつものレオンが大切にしているものを傷付けたのだ。

「……ブラック兄弟の居場所はわかるか?」

こういう時にディアナがいてくれれば助かるが、
わざわざ会いに行くほど悠長な状況ではない。

「お得意さんたちに聞いてみます!
 もしかしたら、何か知ってる人がいるかも……!」

レオンは真剣にそう言っていた。

「……レオン、なら情報収集は任せた。
 だが、居場所がわかっても1人で立ち向かうのは駄目だ」

こうでも言っておかなければ、
レオンは1人でブラック兄弟のもとへ向かうかもしれない。
いざそうなっては、誰もレオンを守れず、危機に陥る可能性すらある。

そう考え、俺は予め釘を刺しておいた。

「……俺は、サビクを連れ戻す。
 必ずだ、だからそれまで待っていてくれ」

「……わかりました」

レオンは俺の意図を察したのか、少し悔しそうな顔で返答した。

「……俺もレオンを手伝うよ」
「ダメだよ、叔父さんは怪我してるんだから!
 早く病院に行った方が良いよ!」

「……俺にとって、レナとレオン、そしてフォルトゥナ……
 この3つは、兄さんが遺した大切なものなんだ ……
 それを脅かす奴らがいるなら、俺には、命に代えても、お前達を守る責任がある……!」

真剣な眼差しで、店長はそう語った。

「……叔父さん……!」

しかし、レオンの心配そうな顔は変わらない。

「大切に思っているのは、レオンやレナも同じじゃないのか。
 店長が無茶をして、何かがあってはレオンやレナが悲しむだけだ。

 ……ここは、“俺達”に任せてくれ」





俺はスターオーブの導きによって、サビクの後を追い、
ある小さな町に辿り着いた。

酒場から、いつか出逢った仮面の男……断罪の凶星が出てくる事に気付き、
俺は物陰へと身を潜めた。

今はサビクを連れ戻すのが最優先……
あの男と関わって話をややこしくしている場合ではない。

「……この近くにいる事は確かだ……」

断罪の凶星が呟くように発した言葉に、俺は一瞬反応しかけたが、
息を殺し、そのまま身を隠し続けた。

「……俺が必ず見つけ出す……そして……」

そう呟きながら、断罪の凶星は町から去っていった。

あの発言は何だったのだろうか。
俺の事を言っていたのではないのか……?

……今は考えても仕方がない。
俺はスターオーブが示す、小さな酒場へと入っていった。





……そして。

「……聞け。
 レナが連れ去られた……
 ブラック兄弟という奴らに……!」

「なんだと……?」

サビクは驚き、くわえていた火のついていない煙草を落としたが、
すぐに険しい表情になり、煙草をしまった。

「……で?
 だから何だって言うんだ?
 俺は街を出た……もう、あいつらとは何の関係もないだろうが……」

目を合わせずに興味のなさそうな態度でサビクはそう言った。

サビクの正直にならない態度に俺は怒りを覚え、
気がつくと俺は右手で思いきりサビクに殴りかかっていた。

「……ってェ……!?
 何しやがる……!!」

「お前にはわかっているだろう!?
 レナには、お前が必要なんだ……!!
 お前の助けを待っているんだ!!
 お前が助けずに、誰が助けるんだ!?」

俺は、感情的に、思うままの言葉をサビクにぶつけた。

「……うるせェ……!!
 お前に、俺の何がわかるんだよッ!?
 俺は……もう……もう……ッ……!!」

サビクもまた、感情的になり、
俺を、まっすぐに睨み付けた。
獣のように鋭い眼光が、サビクの中で眠っていた激しさを感じさせた。

「……お前の過去に何があったかは知らん。
 だが、お前だって、レナやレオンへの情があるだろう?
 だからその気はなかったのに、“長く居座った”んじゃないのか?」

「情が……

 ……あって悪いか……ッ……
 それでも俺は……俺は……ッ!!」

俺達の間に、無言の時が流れた。
心配そうに店員がこちらを見つめているようだった。

「……こうしている間にも、レナがどうなっているかわからない。
 お前がどうしても助けたくないと言うのなら、好きにしろ……」

「……ッ……」

「……だが、これだけは言わせてもらう。
 俺の知り合いが言っていた言葉だ。

 『一度走り出したら立ち止まるな。最後まで走り続けろ!』
 サビク、お前はいつまで立ち止まるつもりだ?」

俺の言葉に、サビクは驚きを隠せない様子だった。

「……テンジ……お前……なんで……」


サビクは数秒間、黙り込んだ。
そして、何も言わずに、立ち上がった。

「……だッ、クソッ!!
 世話が焼けるぜ……!!
 今回だけ……今回だけだからな……ッ!!」

サビクは真剣な眼差しで、俺の顔を見ていた。

「……テンジ、この件が終わったら1つ聞かせろ。
 ンで、1発殴らせろ……」

「……何故だ?」
「何故だ?じゃねェ……!!
 本気でブン殴ったんだから、俺にも1発殴らせろっつってンだよッ!!」

大人であるサビクが、真剣に子供染みた事を言うため、
俺は不意に笑ってしまった。

「笑うなッ!?」

「初めてお前の、正直な言葉を聞いたような気がしてな」

サビクは俺の言葉にどう返して良いのかわからないのか、強く頭をかいていた。

「だァッ、もう良い!!
 とっとと行くぞ……ッ!!」

サビクと俺は店を出て、砂漠の街へと戻っていった。



(星七号の独り言)
なんだかんだとありましたが、雨は止みました。
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コメント

1. 1発殴らせろ

 きっと相当痛かったんでしょうねぇw

 でも、後から「じゃ、約束通り殴らせてもらうから!」(ばちこーん)っていうのは、なかなかできない気がしますwwww

Re:1発殴らせろ

コメントありがとうございます!
えぇ、痛かったのかもしれませんねw

>「じゃ、約束通り殴らせてもらうから!」(ばちこーん)
確かにそうですねw
あんまり話すと今後のネタバレになってしまいますがw

2. それはもうしれっと

 何故だ?と素で訊き返すテンジさんが個人的にツボでしたw

Re:それはもうしれっと

再びコメントありがとうございます!

たぶん本人は真剣なんですけどねw
そんなところも楽しんでいただけると何よりです。

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ゲーム作ったり話書いたりする人