Strong Stars Story
Side:Shadow
17「目覚めし勇士」
俺達が砂漠の街へ辿り着くと、レオンが俺達を出迎えた。
「……サビクさん……っ!」
レオンは、泣きながらサビクに駆け寄った。
サビクは少し困ったような笑顔で、レオンの頭を優しく叩いた。
「ったく……なんて顔してンだよ。
お前も一応、男だろ?」
レオンは袖で涙を拭いながら、俺が渡したサビクの短剣を突き返した。
「これ……お返しします。
ボクには、この剣がありますから」
サビクはレオンから短剣を受け取り、それを腰に差した。
「面倒くせェが……
じゃじゃ馬姫を助けに行くか」
サビクの瞳はまっすぐに前を向き、静かに燃え上がっていた。
※
俺達はレオンの案内を受けながら、隠された地下道を歩いていた。
どうやらこの先にブラック兄弟の活動拠点があるらしい。
見張りの男が俺達を見つけたが、
あっという間にサビクの回し蹴りによって気絶させられていた。
「……鮮やかな蹴りだな、サビク」
「そうか?
酔っ払っててもこれぐらいは余裕だろ」
俺達はそんな会話をしながら、先へ、先へと進んでいった。
※
「なぁ、姉ちゃん……いつまで強がるつもりだ?
大人しく俺の女になったら、どうだ?」
ブラック兄弟のボス「クラーク」はそう言いながら余裕に満ちた笑みを浮かべていた。
レナは縛られ、身動きが取れない状態でありながらも、
決してブラック兄弟に屈する事はなかった。
「あなたなんかの女になるぐらいなら、死んだ方がマシよ。
それに……あなたがそうやって余裕でいられるのも今のうち……」
「イイ……イイぜ……
俺は、気の強い女が、絶望に屈していく姿が大好きなんだ……
心配しなくても、助けなら来ない」
クラークがそう言った瞬間、出入口の扉が勢い良く開かれた。
「空気を読まなくてすまねェが……助けならここにいるぜ?
レナ、待たせたな」
「サビク……‼」
※
俺達が最奥の広い部屋に突入すると、
部屋の中で待機していた数人の男達が武器を構えた。
中には、サビクに濡れ衣を着せようとしていた若い男達の姿もあった。
「姉さん……!!」
レオンは慌ててレナに駆け寄ろうとしたが、
男達がレオンの前に立ちはだかる。
「どいてください……ッ!!」
レオンは大剣を構え、振り回すが、
男達はそんなレオンの攻撃を笑いながら避けていた。
「なんだこいつ!?」
「当たらねーよ、バァカ!」
1人の男がレオンに攻撃しようとしているのを察知し、
俺は素早くそれを防いだ。
「テンジさん……!?」
「大丈夫か、レオン」
俺はレオンを心配しつつ、納刀したままの「天狼」で周囲の男達に打撃を浴びせた。
サビクは身動きの取れないレナへ向かい走っていったが、
その姿を見て、ブラック兄弟の親玉が音を立てて指を鳴らした。
すると、レナの周囲を光が包み込み、光と共にレナをどこかへと消し去ってしまった。
「レナッ!?」
「姉さんっ!?」
「心配するな、姉ちゃんは別室へ移動させた。
せっかく手に入れた上玉だ……易々と返してはやれんからな」
親玉がそう言って余裕ある笑みを浮かべると、
再び指を鳴らし、「来い!」と高らかに声をあげた。
すると、先程レナを包んだものと同じ光と共に、
俺やサビク数人分の大きさはあるであろう、巨大な機械が姿を現した。
「……こいつは……?」
「これはサァビク、お前を殺すために用意した戦闘兵器……
その名も……ブラックヴァイパー……!!」
ブラックヴァイパーと呼ばれた黒い兵器は、
数歩前進し、刃の取り付けられた腕を振り下ろして見せた。
「……ッ!!」
その迫力にレオンは息を飲んだ。
俺もこのような機械を見るのは初めてで驚いたが、
サビクは表情ひとつ変えずに敵の親玉を睨み続けていた。
「どうだ、サァビク……?
ブラックヴァイパーを前に、言葉も出ないだろう……」
「……先に言っとくぜ。
その玩具、壊されても泣くんじゃねェぞ。
醜い泣き顔なんざ、見たくもないからな」
サビクは腰に差した短剣を構え、1歩ずつブラックヴァイパーへと近付いていた。
「サビクさん……!」
心配そうに見守るレオンだが、
サビクには勝利を確信しているように、ただ眼前の敵に向かって歩いていた。
「減らず口を悔やみながら、無様に死ねェ……!!」
刃の取り付けられた腕がサビクに襲いかかった。
サビクはそれを難なく避けながら、
腕の関節部分へと短剣を突き刺し、勢いよくそれを切断した。
「バッ……バカな……ッ!?」
親玉を初め、ブラック兄弟達は目の前の光景に自分の目を疑っていた。
たった1人が短剣で、巨大な兵器の腕を切断するとは思ってもみなかったのだろう。
「これで終わりにするか?
……それとも、もっと壊してほしいのか?」
サビクの鋭い眼光は、目の前のブラックヴァイパーではなく、
ブラック兄弟の親玉を捉え続けていた。
(星七号の独り言)
メカ出ました、メカ。
ROの世界観にもいますからね、メカ。
この状態のサビクさんは台詞回しとかも含め、書いていて凄く楽しいです。
1. レナさんはやっぱりヒロイン
「せっかく手に入れた上玉」だと!!? 分かってんじゃねぇか!!
その審美眼だけは褒めてやろう!!(#゚Д゚)カッ(何様)
ブラック兄弟の話し方にも癖がありますね。 サビクさんの名前間延びしてる…
リーチの差をものともせず、相手の懐に飛び込み急所を攻める。
いやー、カッコいいですわ…! 短剣使いには憧れますね。
悪役Sideにも冒険者(ジョブ)のモデルはあるのでしょうか?
メカということはブラックスミス系統?
でも親玉はテレポート系の魔法が使えそうですね。
Re:レナさんはやっぱりヒロイン
>レナさんヒロイン
Side:Shadowは主人公がテンジ固定というのもあり、
お察しの通りレナさんはサビク編のヒロインとして本家のレテーナとは役割が若干変わっていますね。
本来ならブラック兄弟との絡みとかもSide:Shadow内に入れるべきなのですが、
まぁ、このサイト内で見れる話ですからw
(いつかSide:Shadow Ver.に調整したいなぁ)
>ブラック兄弟の話し方にも癖
某声優さんの話し方をイメージしましたw
悪役は一癖二癖あった方が書いてて楽しいのです。
>悪役Sideにも冒険者(ジョブ)のモデルはあるのでしょうか?
キャラによりますねー。
今回の人(クラーク)はゲーム的な部分より、
悪役として「自分では直接戦わない、卑怯」の演出としてメカを使ったりするので、
あまり深く考えてないとも言えますw