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Side:Shadow 17「目覚めし勇士」


Strong Stars Story
  Side:Shadow
   17「目覚めし勇士」

俺達が砂漠の街へ辿り着くと、レオンが俺達を出迎えた。

「……サビクさん……っ!」

レオンは、泣きながらサビクに駆け寄った。
サビクは少し困ったような笑顔で、レオンの頭を優しく叩いた。

「ったく……なんて顔してンだよ。
 お前も一応、男だろ?」

レオンは袖で涙を拭いながら、俺が渡したサビクの短剣を突き返した。

「これ……お返しします。
 ボクには、この剣がありますから」

サビクはレオンから短剣を受け取り、それを腰に差した。

「面倒くせェが……
 じゃじゃ馬姫を助けに行くか」

サビクの瞳はまっすぐに前を向き、静かに燃え上がっていた。





俺達はレオンの案内を受けながら、隠された地下道を歩いていた。
どうやらこの先にブラック兄弟の活動拠点があるらしい。

見張りの男が俺達を見つけたが、
あっという間にサビクの回し蹴りによって気絶させられていた。

「……鮮やかな蹴りだな、サビク」
「そうか?
 酔っ払っててもこれぐらいは余裕だろ」

俺達はそんな会話をしながら、先へ、先へと進んでいった。





「なぁ、姉ちゃん……いつまで強がるつもりだ?
 大人しく俺の女になったら、どうだ?」

ブラック兄弟のボス「クラーク」はそう言いながら余裕に満ちた笑みを浮かべていた。
レナは縛られ、身動きが取れない状態でありながらも、
決してブラック兄弟に屈する事はなかった。

「あなたなんかの女になるぐらいなら、死んだ方がマシよ。
 それに……あなたがそうやって余裕でいられるのも今のうち……」

「イイ……イイぜ……
 俺は、気の強い女が、絶望に屈していく姿が大好きなんだ……
 心配しなくても、助けなら来ない」

クラークがそう言った瞬間、出入口の扉が勢い良く開かれた。

「空気を読まなくてすまねェが……助けならここにいるぜ?
 レナ、待たせたな」

「サビク……‼」





俺達が最奥の広い部屋に突入すると、
部屋の中で待機していた数人の男達が武器を構えた。
中には、サビクに濡れ衣を着せようとしていた若い男達の姿もあった。

「姉さん……!!」

レオンは慌ててレナに駆け寄ろうとしたが、
男達がレオンの前に立ちはだかる。

「どいてください……ッ!!」

レオンは大剣を構え、振り回すが、
男達はそんなレオンの攻撃を笑いながら避けていた。

「なんだこいつ!?」
「当たらねーよ、バァカ!」

1人の男がレオンに攻撃しようとしているのを察知し、
俺は素早くそれを防いだ。

「テンジさん……!?」
「大丈夫か、レオン」

俺はレオンを心配しつつ、納刀したままの「天狼」で周囲の男達に打撃を浴びせた。

サビクは身動きの取れないレナへ向かい走っていったが、
その姿を見て、ブラック兄弟の親玉が音を立てて指を鳴らした。

すると、レナの周囲を光が包み込み、光と共にレナをどこかへと消し去ってしまった。

「レナッ!?」
「姉さんっ!?」

「心配するな、姉ちゃんは別室へ移動させた。
 せっかく手に入れた上玉だ……易々と返してはやれんからな」

親玉がそう言って余裕ある笑みを浮かべると、
再び指を鳴らし、「来い!」と高らかに声をあげた。

すると、先程レナを包んだものと同じ光と共に、
俺やサビク数人分の大きさはあるであろう、巨大な機械が姿を現した。

「……こいつは……?」

「これはサァビク、お前を殺すために用意した戦闘兵器……
 その名も……ブラックヴァイパー……!!」

ブラックヴァイパーと呼ばれた黒い兵器は、
数歩前進し、刃の取り付けられた腕を振り下ろして見せた。

「……ッ!!」

その迫力にレオンは息を飲んだ。
俺もこのような機械を見るのは初めてで驚いたが、
サビクは表情ひとつ変えずに敵の親玉を睨み続けていた。

「どうだ、サァビク……?
 ブラックヴァイパーを前に、言葉も出ないだろう……」

「……先に言っとくぜ。
 その玩具、壊されても泣くんじゃねェぞ。
 醜い泣き顔なんざ、見たくもないからな」

サビクは腰に差した短剣を構え、1歩ずつブラックヴァイパーへと近付いていた。

「サビクさん……!」

心配そうに見守るレオンだが、
サビクには勝利を確信しているように、ただ眼前の敵に向かって歩いていた。

「減らず口を悔やみながら、無様に死ねェ……!!」

刃の取り付けられた腕がサビクに襲いかかった。

サビクはそれを難なく避けながら、
腕の関節部分へと短剣を突き刺し、勢いよくそれを切断した。

「バッ……バカな……ッ!?」

親玉を初め、ブラック兄弟達は目の前の光景に自分の目を疑っていた。
たった1人が短剣で、巨大な兵器の腕を切断するとは思ってもみなかったのだろう。

「これで終わりにするか?
 ……それとも、もっと壊してほしいのか?」

サビクの鋭い眼光は、目の前のブラックヴァイパーではなく、
ブラック兄弟の親玉を捉え続けていた。



(星七号の独り言)
メカ出ました、メカ。
ROの世界観にもいますからね、メカ。

この状態のサビクさんは台詞回しとかも含め、書いていて凄く楽しいです。
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コメント

1. レナさんはやっぱりヒロイン

 レナ姫様ああああっ!? おどれらヒロインに何ばしよっとね!!?
「せっかく手に入れた上玉」だと!!? 分かってんじゃねぇか!!
その審美眼だけは褒めてやろう!!(#゚Д゚)カッ(何様)
 ブラック兄弟の話し方にも癖がありますね。 サビクさんの名前間延びしてる…

 リーチの差をものともせず、相手の懐に飛び込み急所を攻める。
いやー、カッコいいですわ…! 短剣使いには憧れますね。
 悪役Sideにも冒険者(ジョブ)のモデルはあるのでしょうか? 
メカということはブラックスミス系統?
でも親玉はテレポート系の魔法が使えそうですね。

Re:レナさんはやっぱりヒロイン

コメントありがとうございます!

>レナさんヒロイン
Side:Shadowは主人公がテンジ固定というのもあり、
お察しの通りレナさんはサビク編のヒロインとして本家のレテーナとは役割が若干変わっていますね。

本来ならブラック兄弟との絡みとかもSide:Shadow内に入れるべきなのですが、
まぁ、このサイト内で見れる話ですからw
(いつかSide:Shadow Ver.に調整したいなぁ)

>ブラック兄弟の話し方にも癖
某声優さんの話し方をイメージしましたw
悪役は一癖二癖あった方が書いてて楽しいのです。

>悪役Sideにも冒険者(ジョブ)のモデルはあるのでしょうか?
キャラによりますねー。
今回の人(クラーク)はゲーム的な部分より、
悪役として「自分では直接戦わない、卑怯」の演出としてメカを使ったりするので、
あまり深く考えてないとも言えますw

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星七号
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ゲーム作ったり話書いたりする人