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Side:Shadow 22「帰らぬ者」


Strong Stars Story
  Side:Shadow
   22「帰らぬ者」

アイリが俺とアルナを連れ、向かった先は、
街から遠く離れた場所にある、小さな家だった。
「廃屋」というほど荒れ果ててはいないが、どこか寂れた雰囲気のある家。
 
「……さ、入ろ?」
 
アイリはどこからか鍵を取りだし、俺達へ見せた。
 
「勝手に入って大丈夫なのか……?」
 
「ダイジョーブ。
 だって、ここ、あたしたちの別荘みたいなものだし」
 
とても富豪の別荘には見えない寂れた風貌の家だが、
アイリは気にせず鍵を開け、アルナと共に中へと入っていった。
 
 

 
 
家の中は、思いの外綺麗に片付けられていたが、
そこからは人間の生活感は感じられなかった。
 
「……やっぱ、帰ってないかぁ~」
 
アイリはそう呟き、アルナも寂しそうに涙を浮かばせていた。
 
「……」
 
明らかに、様子がおかしい2人に、俺は何を話して良いのかわからずにいた。
 
「この別荘は何なんだ?」
……そう問いかけて、何か返事を得られるだろうか。
 
しばらくそんな事を考えていると、アルナは寂しげに口を開いた。
 
「やっぱり……もう、帰ってこないのかな……?」
 
寂しげに涙を浮かばせるアルナの瞳を、
アイリは指で拭い、そしてにっこりと笑みを浮かべた。
 
「もう、ここにいるのも飽きちゃった!
 ねー、おじさん、次は楽しい所に行こっ? ねっ?」
 
「……楽しい……所……?」
 
「楽しい所……そう! 遊園地っ!
 お金ならダイジョーブ、あたしたち、お嬢様だから!」
 
満面の笑みでそう語るアイリに、アルナは困りながら話しかけた。
 
「……アイちゃん……えっと……ね……?
 たぶん、お家でみんな、心配してると思う……
 だからね……その……」
 
困りながら、弱々しく発言をするアルナだったが、
 
「ちょっと遊んだら、すぐに帰るからダイジョーブだよ!
 あたし、アルナと一緒に行きたいんだもん!」
 
と、元気いっぱいな笑顔を見せるアイリを前に、
結局アルナは何も言えないまま、折れてしまっていた。
 
「……もう……アイちゃんは……」
 
当然、俺に拒否権があるハズもなく、
俺はアイリに言われるがままに、2人のお嬢様を遊園地へと案内した。
 
 

 
 
遊園地など、今までの俺にはまるで無縁の場所だった。
存在は噂に聞いていたが、
まさかその地に足を踏み入れる事になるとは思ってもみなかった……
 
「ジェメリーパーク」……
この遊園地は、名前からもわかるように、
ジェメリー家と強く関わりのある企業が運営しているらしい。
 
魔力によって出し物が動き、見て、触れて人々を楽しませる。
魔法都市で研究されている技術が応用されているようだ。
 
そんな凝った作りの出し物を前に、
アルナとアイリは無邪気に子供らしく楽しんでいるようだった。
(……ドレス姿はやはり目立っていたが)
 
「……っ……!?
 今の、もしかしてっ……!!」
 
すると、その途中、アイリは何かを見つけたらしく、
いきなり走り出してしまった。
 
「アイちゃん、待って……!?
 きゃっ……!」
 
アルナは慌てアイリを追いかけたが、その場に転びそうになってしまった。
間一髪のところで俺が抱き止めたが、その間に俺達は、アイリを見失ってしまっていた。
 
「……アルナ、大丈夫か?」
「は、はい……でも、アイちゃんが……」
 
「アイリなら心配はいらない。
 あの服装なら目立つだろう……」
 
それに、いざとなれば、スターオーブがアイリの居場所へ導いてくれるだろう。
 
「……そう……かもしれませんね」
 
アルナはそう言った後、何かを言いたそうな表情で俺を見つめていた。
 
「……どうした?」
 
「えっと……あの……テンジさん、
 こんなところに来るの、嫌じゃなかった、ですか……?」
 
アルナは申し訳なさそうに、そう話した。
 
「……いや、こんな所に来たのは初めてだからな。
 見るもの全てが新鮮で面白い」
 
そう話すと、アルナは安心したような表情を見せた。
 
「……たぶん、ですけど……
 アイちゃんがここに来たいってワガママを言ったのは……
 わたしのために、だと思うんです」
 
「……そうなのか?」
 
「はい。
 わたしが落ち込んで、泣いていたから、
 アイちゃんは、楽しい場所に行こうって……
 アイちゃん、ちょっとワガママですけど、明るくて、優しい子なんです」
 
アルナは少し恥ずかしそうに、それでいて嬉しそうに、そう話していた。
 
「……そうだったのか。
 じゃあ、早くアイリを見つけて礼を言わないとな」
 
「……はいっ!」
 
俺とアルナはアイリを探すため、パーク内を歩き始めた。
 
 
 
(星七号の独り言)
ジェメリー家に養ってもらいたいですねw
 
幼くして超リッチな家庭の娘なアルナ&アイリと、野良犬の如き男・テンジ。
アルナ&アイリ編は格差社会の物語です(違)。
たぶん「金の力の強さ」をテンジに教えてくれる…かも?
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コメント

1. かくさしゃかいにまけないよ

 格差社会と言われてドアラを思い出したのは、多分私くらいなものでしょう。(何
 ついでに私も養ってもらっちゃおうそうしちゃおう^^

Re:かくさしゃかいにまけないよ

コメントありがとうございます!

>格差社会と言われてドアラ
なるほど、ググって理解しましたw

>ついでに私も養ってもらっちゃおうそうしちゃおう^^
そうしましょう!
たぶん1人養うのも2人養うのもジェメリー家なら大差ないと思うんですよ。
そして格差社会に負けない側に!w

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星七号
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ゲーム作ったり話書いたりする人