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Side:Shadow 25「秘密」


Strong Stars Story
  Side:Shadow
   25「秘密」

アルナとアイリが私服に着替えた後、俺達が向かったのは
魔法都市からしばらく北へ向かった先にある山岳地帯だった。

「たしか、探すのは……」

そう俺が呟くと、アルナが
「七色花、甘味茸、夕暮色の薬草と、一角竜の角……です」
と何も見ずに探すべきものを答えた。

「アルナお嬢様は記憶力がとてもよろしいんですよ」
「一度読んだだけで本の内容おぼえちゃうしね」

サブリナとアイリはアルナの特技を説明したが、
アルナは顔を赤くし、恥ずかしそうにしていた。

「……そ、その……変ですよね……?
 ごめんなさい……」

サブリナの陰に隠れ、アルナは今にも消えてしまいそうだった。

「立派な特技だ、誇っても良いだろう」
「ほ、誇るなんて……わたし……無理……です……」

かえってアルナは恐縮するように、サブリナの陰に隠れていった。

「……しかし、一角竜はかなり狂暴だと聞くが、本当に大丈夫か?」

アルナとアイリはずいぶんと可愛らしい、玩具のような杖を持っているが、
サブリナにいたっては武器を持っている様子はない上に、
メイド服を着たままだ。

「はい、ご心配は無用ですよ?」

サブリナは優しげな笑みを浮かべた。
……どこまで鵜呑みにして良いのかわからぬまま、
俺達は山岳地帯を道なりに進んでいった。

そんな時だった。
俺は、何者かの気配を感じていた。
サブリナもそれは同じらしく、俺の方を見て無言で微笑んでいた。

……「強き者」であるハズの
アルナやアイリの能力も気になるところではあるが、
俺は1 人の冒険者として、サブリナの秘められた実力に興味を持っていた。

ここは、サブリナの実力を拝ませてもらうとするか。

岩陰から、3匹の猿に似たモンスターが跳び出してきた。
サブリナはアルナとアイリをかばうように立ち、
不敵な笑みを浮かべてみせた。

「キキィッ!!」

モンスターは勢い良く襲いかかった……その瞬間、
モンスターの身体が不思議な光に包まれると、
まるで爆発でもしたかのように、後方へ弾き飛んだ。

そして、モンスター達はサブリナを恐れるように、
あっという間にその場から立ち去っったのだった。

アルナとアイリは、特に驚いた様子もなく、
サブリナの姿を安心しきった表情で見ていた。
恐らく、サブリナの力を見たのはこれが初めてではないのだろう。

「……今のは……相手の攻撃を利用した反撃の魔法……か?」

「相手が生んだ攻撃のエネルギーを、
 一時的に魔法で吸収、圧縮して、それを解放、炸裂させています。
 相応に鍛えれば、魔法はこういう使い方も出来るんです」

サブリナはにこやかにそう語っていた。

「……そんな戦い方、見た事がないな……
 どこかで修行を積んだのか……?」

「それは、秘密です♪」

サブリナは、相変わらずの笑顔だった。
何はともあれ、サブリナが戦える事に嘘偽りはないようだ。





それからも、次々とモンスターが俺達の前に現れたが、
俺やサブリナが退け、アルナとアイリはただ後方で見ているだけだった。

「強き者」が持つ力に興味がないといえば嘘になる。
だが、極力2人を危険に巻き込みたくはない。
そのためには、俺達が戦った方が都合は良かった。

「……俺の武器がどうかしたか?」

アイリが武器をじっと見ているのが気になり、俺は問いかけた。

「おじさんって、魔法使えるの?」

アイリは純粋に、不思議そうな表情で話し始めた。

「いや、俺に魔法の心得はないが……何故だ?」

「うーん……
 どう言えばいいのかわかんないけど……
 おじさんのその武器って、なんか魔法っぽいんだよね」

アイリは何食わぬ顔でそう言っていた。

「……わたしも、ちょっと気になってました……
 どうして……その剣を抜かないのかな、って……」

アルナも続けてそう疑問を口にした。

確かに、俺が持つ「天狼」は片刃の刀だ。
だが、2人の前では一度も抜刀していない。
鞘に納めたまま殴っていただけだ。

そして、アイリが言う「魔法っぽい」という言葉……
それは、確かに間違ってはいなかった。

「……アイリ。
 その魔法っぽいという言葉は、間違ってはいない。
 この刀には、一種の魔法のようなものが施されている」

俺の言葉に、アイリは「やっぱり!」と小さく拳を握りしめていた。

「……そして、アルナ、俺が刀を抜かない理由だが……
 フッ……

 『それは、秘密です♪』」

俺は、先程のサブリナの言葉を真似て見せた。

「ふふふっ……」
「おじさん、変なのっ!」

アルナとアイリは、俺の物真似に無邪気に笑っていた。

「もう、テンジ様、真似しちゃダメですよっ!」

サブリナは少し怒ったように、こちらを見ていた。

「すまない、冗談のつもりだった」

そんなこんなと話をしながら、俺達は山岳地帯を進み続けた。



(星七号の独り言)
例によって1話はストックを残す体質なため、
この話は昨年中に書いていたものです。
次からが2018年となります。

秘密のあるメイドさんの真似をするポンコツおじさん。
アルナ&アイリが笑ってくれるならOKですとも。
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星七号
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ゲーム作ったり話書いたりする人