Strong Stars Story
Side:Shadow
26「意外な遭遇」
山岳地帯で薬の原料を集めていくと、
俺達の前にどこかで見たような巨大兵器が姿を見せた。
……あれは確か……
俺の脳裏にサビクと共に戦った、ブラックヴァイパーの姿が浮かんだ。
「ププププ~ッ♪
おひさしぶりぃ、デリテリオのアーシアちゃんだよぉ~♪
お友達とははぐれちゃったけど、
こんなところで逢えたなんて、“デスティニー”?」
どこかで見たような兵器から、どこかで聞いたような、
他人を小馬鹿にしたような声が聞こえてきた。
なるほど……あの時の……
「なにあれ!?
ロボット!? 魔導アーマー!?
ピンクで超カワイイっ!!」
アイリはブラックヴァイパーならぬ、
ピンクヴァイパー(と仮に名付けた)を見て、瞳を輝かせていた。
「可愛いかもしれないが、動かしているのは危険な奴らだ。
警戒はしておいてくれ」
俺が3人にそう話しかけていると、
アーシアは不機嫌そうにこちらへ発砲してきた。
「ちょっとぉ!
アーシアちゃんの話、聞いてよ!!
ナガ様にすっごい怒られたんだからっ!!」
ピンクヴァイパー(仮)はこちらに向かって突進攻撃を仕掛けてきた。
俺はアイリを、サブリナはアルナをかばいつつ、その攻撃を回避した。
「よわよわよわぁいクラークさんの“おさがり”だと思ったら大間違い!!
アーシアちゃんの新型ヴァイパーで、ムカつくあんたを“デストロイ”♪
プププっ~♪ プ~っ♪」
ピンクヴァイパーは俺を目掛けて様々な攻撃を繰り出した。
攻撃方法自体は様々なものがあるようだったが
……アーシアの性格なのだろう。
攻撃が非常に単調で、一度対峙していた俺には次の動作が手に取るようにわかった。
「……先を急ぐ。
遊びは終わりだ」
俺はピンクヴァイパー(仮)の攻撃を見切り、
その隙に天狼を用いた抜刀術で、ピンクヴァイパー(仮)を破壊した。
「ちょっ……ちょっとぉ!!
何してくれちゃってるの!?」
アーシアは慌てふためきながら、
ピンクヴァイパー(仮)を飛び出し、俺達の前に姿を見せた。
「もぉぉぉ……こうなったら……
”お片付け“!
ナガ様、壊してごめんなさいだけど……
一緒に死んじゃえ、ばいばい!!」
アーシアが何かのスイッチを押すと、
壊れたピンクヴァイパー(仮)は不気味な警報音と共に光り始めた。
アーシアは以前のように姿を消し、どこかへと去っていった。
「……何、この音……?」
不思議そうにアイリは目を丸くしていた。
「……恐らく、自爆するつもりだ。
“こんなところまで”前回と同じ流れだとはな」
「じ、自爆……!?」
今度はアルナ、アイリ、サブリナが揃って目を丸くしていた。
「逃げるぞ。
サブリナ、アルナを頼む!」
「は、はい……っ!」
俺はアイリを、サブリナはアルナを連れ、慌ててその場から逃げ去った。
※
爆発には巻き込まれずに済んだものの、
俺は逃げる途中でサブリナ、アルナとはぐれてしまったようだ。
はぐれてもスターオーブがある分合流は容易い。
今はアイリが怪我せずに逃げ切れた事を良しとすべきなのだろう。
だが、それを知らないアイリは、アルナやサブリナとはぐれ、
不安に思っているかもしれない。
「……不安か?」
俺がそう声をかけると、
「ダイジョーブだよ。
アルナは不安がってるかもだけど、サブリナもいっしょだろうし。
それに、アルナはあたしより頭いいから、なにかあってもどうにかなると思う」
アイリの表情は、とても穏やかだった。
アイリはそれだけ、サブリナとアルナを信頼しているという事なのだろう。
「信頼しているんだな」
「いちおー双子の姉妹だからね。
12年もいっしょにいるんだよ?
アルナはオクビョーなとこもあるけどさ、
記憶力も良いし、いろんな事を知ってるし。
なにより、いっしょにいると楽しいんだ♪」
無邪気な笑みを浮かべるアイリを見ていると、
俺もつい微笑んでしまった。
「……そうか。
じゃあ、早くアルナやサブリナと合流して、
薬の原料を持って帰らないとな」
「うんっ!」
※
一方、その頃……テンジとはぐれたアルナ&サブリナ組。
サブリナが現在地を確認している間、
サブリナに言われるままに、アルナは1人休憩していた。
「……アルナ……」
聞き覚えのある声を耳にし、アルナが振り返ると、
そこには仮面の男……ルファクの姿があった。
「おにい……ちゃん……?」
(星七号の独り言)
アルナ&アイリ編は
星七号の中では大きくざっくり3つのステップで出来上がっています。
お気付きかわかりませんが、今までもそういうつもりだったんですけどね。
スピカ編の場合は、
1~3話:キャラ&状況紹介
4~7話:スピカ、完璧の裏側
8~10話:アジト突入、結束の力
サビク編の場合は、
11~12話:キャラ&状況紹介
13~16話:サビクの雨季
17~20話:サビク、再始動
アルナ&アイリ編では…どうなるやらですね!w