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Side:Shadow 31「新たな強き者」

Strong Stars Story
  Side:Shadow
   31「新たな強き者」


ランドルフからの届け物を済ませ、デイブレイクへと戻ると、
入口で俺は二人の騎士とすれ違った。

「……なんだ、今の騎士達は……?」

俺が疑問を口にすると、ランドルフは壁に貼られた見慣れぬ紙を示した。

「……協力者募集……?」

貼り紙には騎士団が追っているある犯罪組織を捕らえるため、
協力者を求めているという話が書かれていた。

冒険者として気になる話ではあったが、それ以上に気になったのは、
その犯罪組織の名と首領とされる人物だった。

「犯罪組織……デリテリオ……首領……パテラ・フィズ・ナガサー……」

間違いない。
以前ニコルを誘拐した、下卑た笑い方をする男だ。

 そしてデリテリオと言えば、これまで何度か戦ってきた存在でもある。

「この話……ディアナは知っているのだろうか」

そう考えた俺は、ディアナの暮らす街へと一人向かった。





ディアナやタミードの話によれば、ナガサーはある女の手引きによって脱獄し、
デリテリオは様々な犯罪組織を取り込んで規模を拡大していたのだという。
言われてみれば、サビクの時に戦った連中もそんな話だったような気もするが……

不思議な事に、俺がこれまでデリテリオ関係者と接触したのは
「強き者」と同行していた際ばかりだった。

まさかとは思うが、今回の件も「強き者」と関わりがあるのではないだろうか。

……そう思った俺は、デリテリオを追うディアナやタミードと共に、
首都にある騎士団の本部へと向かった。





「……ご足労いただき、感謝する。
 私は騎士団所属、聖騎士のフリードだ」

狭い部屋に集まった数々の協力者達を前に、
熟年の聖騎士「フリード」が挨拶と簡単な説明を行っていた。

「我々騎士団は調査の末、デリテリオの拠点と思われる5つの施設を確認した。
 これに対し、5箇所での同時制圧を行い、デリテリオを完全無力化したい。
 そのために我々は君達に協力を求めた」

……フリードの話す力押しの作戦内容よりも、俺には気になっているものがあった。

スターオーブの反応と、それが見せるイメージだ。

どうやらこの近くに、「強き者」がいるらしい。

……その「強き者」というのは、以前レナを救出した仮面の男……
「断罪の凶星」と名乗る男だった。

確かに、これまでもあの男にはスターオーブが何度か反応を示していた。
やはり、あの男も「強き者」の一人……

「……散りゆく者よ。
 いつか言ったな、貴様とはまた相見えると……」

気がつくと俺の背後には「断罪の凶星」が立ち、銃口を俺に突き付けていた。

周囲の者達が驚き、戸惑う。
その様子に気付き、先程まで話していたフリードも
口を塞いだままこちらを注視していた。

「……今日こそ答えてもらうぞ、
 貴様が何故そのオーブを持っているのか……」

断罪の凶星がそう話した時、フリードが静かにこちらへ歩み寄ってきた。

「喧嘩ならその辺にしておけ。
 今は作戦の説明をしている。
 仮面のお前は銃を下ろすように」

フリードは静かにそう話したが、

「……断る。
 俺はこの男から訊き出さなければならない事がある」

断罪の凶星は一向にそれを受け入れようとしない。

「お前達にどんな因縁があるのかは知らん。
 だが、聖騎士の目の前で揉め事を起こすのならば、相応の対応はさせてもらうぞ」

関係のない周囲の者達すらも怯えているのが感じられる程に、
フリードの眼光には相応の迫力があった。

「……出来る事ならば俺も穏便に済ませたいのだがな
 相手にはその気がないらしい」

俺はそう話すものの、

「穏便に済ませたいのならば、素直にこちらの問いに答えればいいだけだ……」

断罪の凶星はこの調子であったため、周囲には険悪な空気が溢れていた。

いっそスターオーブについて話してしまうべきか?

その考えが頭を過るが、
俺は不思議と、この場でスターオーブについて、何も話す気にはなれなかった。

「……フッ、気に入ったぜお前ら」

険悪な空気の中で、フリードは腕を組み、小さく笑っていた。

「お前ら二人は俺と行動してもらう。
 お前らみたいな気が強い奴らは嫌いじゃないんでな」

「……何を言っている?」
「どういう事だ……?」

断罪の凶星と俺は、共に口を開いていた。

「だからだな、俺とお前らで、デリテリオの拠点を潰しに行くんだよ。

 聖騎士フリードだ、お前の名は?」

熟年の聖騎士は笑みを浮かべたまま
背後の男に銃口を突き付けられる俺に右手を差し出した。

全くもって奇妙な状況だったが、
万が一後ろの男が発砲をしても対応出来るよう警戒しつつ、
俺はその右手に握手で応えた。

「テンジ……冒険者だ」

フリードは断罪の凶星にも右手を差し出した。

「……お前は?」

「……『断罪の凶星』。
 今の俺が名乗る名はこれだけだ」

握手を交わすどころか、銃口を下ろす事なく男はそう語った。
それに対し、フリードは真剣な眼差しで話しかけていた。

「面倒な奴だな……それなら俺が名付けてやる。
 お前は……『ゴルド』……金髪だからな」

「俺はそのような名前ではない……断罪の……」
「知らん。
 呼びやすいようにコードネームぐらい付けさせろ。
 ゴルドじゃなきゃ、キールにしてやろうか?
 昔飼ってた犬の名だが」

断罪の凶星はしばらく黙り、ついには構えた銃を下ろした、呟いた。

「……興が削がれた。
 好きにしろ……」

こうして俺は流されるように、熟年の聖騎士「フリード」、
仮面の男「ゴルド」と共にデリテリオの拠点制圧に向かう事になっていた。



(星七号の独り言)
お待たせしております。
いや、待ってた人いるのか怪しいですが…
ルファク編、始まりました。

ルファク編と言っているのに名乗らないルファク(コードネーム・ゴルド)。
キールという名前は前に別の場所で使おうとしてたキャラの名前で、
黄色だからキールでした。

元々本家S.S.S.の前半で事実上のSide:ルファクをやる構想があったのですが、
やらなかったので今回それを下敷きに再構築してみようかな、と。
あまり長くない話だと思います。

再構築と言いつつも結構話は変わってるんですがw
フリードとかいなかったキャラだし。

ただ、オチは色々あって当時やれなかったものに近いです。

ゆっくり進行ですが、気になる方は見てくれると嬉しいです。


ランドルフ、ディアナ、タミードが喋らないあたり、ダイジェスト感がありますが、
テンポ的に見せたいのそこじゃないしな…という判断の下、割愛しています。
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星七号
職業:
ゲーム作ったり話書いたりする人