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Side:Shadow 35「結末の先へ」

Strong Stars Story
  Side:Shadow
   35「結末の先へ」

アーシアは、ゴルドが身に付けていた仮面を奪っていた。

「……ッ!?
 仮面を返せ……ッ!!」

ゴルドは振り返りながら攻撃を仕掛けたが、
アーシアは笑いながら瞬時に姿を消してしまった。

「わぁ、イッケメン!
 プププププッ……!」

それまで隠されていた、ゴルドの緑色の瞳と素顔がその場に晒されると、
どこからか、あの下卑た笑い声が聞こえてきた。

「ケケケッ、ケケケケケケケッ……」
「黙れ……!」

ゴルドは声のする方向を撃つが、その声が途切れる事はなかった。

「……やっぱオマエだったか……
 そうじゃねぇかとは思ってたんだよなぁ~?」

「黙れェェェッ!!」

ゴルドは闇雲に銃を乱射した。
しかし、それでもその声が止む事はなく、ついには残弾が尽きてしまったようだ。

「この日をどれだけ待っていたか……

 会いたかったゼ……愛しい『我が子』ッ!!」

ゴルドの目の前に現れたナガサーは、そう言って両手を広げた。

「……ふざけるな……
 俺は一瞬たりとも、貴様を親と思った事はないッ!!」

ゴルドはコートの袖から爆弾のようなものを壁へと投げ付け
「ファントムッ!!」と叫んだ。

周囲を眩い光が包み込み……
俺達がいた施設は、その爆発によって壊滅した。





気が付くと俺達は、首都にある騎士団の本部の前に立っていた。

俺とゴルドに騎士達……誰もが状況を理解出来ぬまま、周囲を見渡していた。

「フリードは……!?」

どれだけ周囲を見渡そうとも、フリードの姿はどこにもなかった。

静寂が俺達を包む中、1人の騎士が、涙ながらに口を開いた。

「……恐らくフリード隊長は、あの爆発の瞬間、俺達に転移魔法をかけたんだと思います……
 あの爆発で、施設は機能を停止する……
 だから最期の力で……

 隊長は、そういう人です……」

俺は、騎士の言葉を飲み込めずにいた。
まだフリードが生きている……俺は、そう思いたかったのかもしれない。

一方、仮面を奪われ、素顔のままのゴルドは、
俺達に背を向けたまま静かに怒りを堪え、震えているようだった。

「……ッ……」

ゴルドは俺達に正面を見せなかったため、
その緑色の瞳に涙が浮かんでいたのか、確認は出来なかった。


言葉も交わさぬまま、これからについて考える俺の後方から、
どこかで聞いた声が聞こえてきた。

「あれっ、テンジだよね?」

振り返ると、そこには完全無欠の冒険者・スピカが立っていた。

「それに、ルファクも一緒なんだね。
 もしかして、2人は知り合いなのかな?」

スピカは、笑顔でそう話した。

……ルファク……?

ルファクという名には覚えがある。
そうだ、確か……





……血に染まった病室。
一人、スターオーブを見つめる者がいた。

その者は無表情にスターオーブを見つめたまま、呟いていた。


「……帰ろう……あの場所に。

 終わらせよう……この拳(て)で。

 ……行こう……いつか辿り着けなかった『結末』の先へ。

 ……さぁ、終わりの続きを始めようよ」

血染めの病室に、どこからともなく不穏な風が吹いていた。



(星七号の独り言)
はい、後味が悪い感じですが、ここでルファク編は終了となります。

本当ならテンジ&ルファク側は、
「愛しい『我が子』ッ!!」で切り上げて、続きは次のシリーズに回すつもりでいたのですが、
テンジも「ルファク」という名前には辿り着くべきだろう、と
もう少し進めておきました。

ナガサーについての掘り下げをようやく出来る事がとても嬉しいです。
随分かかりましたね。

そんなこんなではありますが、
次回まではまた少し間が空く予定です。
お待たせしてしまってすみませんが、
長い目で見ていただけると嬉しいです。
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コメント

1. 我が…

 ……!?Σ(゚Д゚;ノノ

Re:我が…

コメントありがとうございます!

実は「パテラ」という名前に秘密を隠していて、ギリシャ語の「パテラス」が元ネタでした。

プロフィール

HN:
星七号
職業:
ゲーム作ったり話書いたりする人