当ブログのSSは個人的に作成した非公式なものです。それを踏まえてご覧いただけると嬉しいです。 忍者ブログ

あくまで非公式です

ラグナロクオンラインのクエスト「Strong Stars Story」関連の非公式SSサイトです。はじめての方は「はじめに」をご覧ください。 ©Gravity Co., Ltd. & LeeMyoungJin(studio DTDS) All rights reserved. ©GungHo Online Entertainment, Inc. All Rights Reserved

Side:Shadow 37「知らない声」

Strong Stars Story
  Side:Shadow
   37「知らない声」

「……ダメじゃないか、テンジ。
 オーブは誰にも見せちゃいけないって言っておいたのに……
 約束は、守らないと……さ?」

俺達の眼前に立つアルゴルは、
俺が知るアルゴルとは別人のように冷ややかな笑みを浮かべていた。

「約束を破ったキミには、そこでじっとしていてもらうよ……?」

アルゴルが俺に向けて右手をかざすと、
闇の波動のようなものが俺を包み込んだ。
俺は回避を試みたがそれもかなわず……闇の波動に飲み込まれた俺は、
話す事も、動く事も出来ぬまま、木や石のように
その場にただ、存在している事しか出来なかった。

「テンジ!?」

スピカが俺を呼び、駆け寄った。

「心配しなくても彼は大丈夫だよ、今の所は、ね……?
 そんな事より……さ……

 兄さん……スピカ……アルナ……アイリ……それにルファク……会いたかったよ」

アルゴルがそう言い終えたと同時に、荒々しい声が聞こえた。
サビクのようだ。

「嘘だッ!
 お前は……お前は死んだッ!
 ……そうだ、俺が……ッ!
 俺が、俺がァッ……」

動揺しながらも、眼前のアルゴルをサビクは否定していた。

「……ふざけるなッ、
 貴様ァァァァァッ!!」

ルファクはアルゴル目掛け、銃に取り付けられた短剣で素早く何度も斬りかかった。
しかし、

「……変わらないね、ルファク。
 攻撃のクセが昔とおんなじだ。
 でも、それでボクに勝った事が一度でもあったんだっけ?」

ルファクの全ての攻撃を察知していたかの如く、
アルゴルは必要最小限の動きだけでルファクの攻撃を捌いた上で
背後に回り込み、ルファクを蹴りつけた。

「お兄ちゃん……!?」

アルナとアイリが倒れたルファクに駆け寄っていた。

そんな中で、俺の前に立つ、スピカは静かにアルゴルへと剣を向けていた。

「アルゴル……」

多くを語らないスピカは、剣を構えながらも静かに震えていた。

「……スピカ、やめなよ。
 強がっていても、キミの恐怖心がボクにはわかる」

「恐くても……止めるっ!
 私が、止めてみせる……っ!!」

覚悟を決めたスピカは次々と素早い斬撃を繰り出したが、
やはり全ての攻撃はことごとくアルゴルに回避されていた。

「……腕はあげたみたいだけど、まだこの程度か。
 それじゃあ……ボクの力、思い出させてあげるよ」

アルゴルの全身から、先程の闇の波動がわきあがり、
それを身にまとったアルゴルがスピカの前で拳を握りしめていた。

「やめろ……ォォォ……ッ!!」

アルゴルの前に立ちふさがった声の主は、サビクだった。

「頼む……もう、やめてくれ……ッ……頼むッ……」

サビクの目からは涙が流れていた。

「兄さん……どうして泣くのさ……?
 ……泣きたいのは、ボクの方だよ」

サビクの前に現れたアルゴルは、闇の波動を宿した一撃でサビクを弾き飛ばした。


俺はアルゴルとスピカ達の間に何があったのかはまだ把握しきれていない。

……だが、仲間達が、次々と傷付けられていく……それだけは止めたかった。

動け、俺の身体……
動け、俺の腕、俺の足……

しかし、どれだけ強く念じても、
俺には小指の先すら動かす事は出来なかった。

吹き荒れる暴風を前に、俺は、ただ無力だった。


『……戦いを止めたい……?』


覚えのない声が聞こえた。

どこから聞こえるのかはわからない。
もしかすると、俺の頭の中に響いているのかもしれない。

相手が誰かなんて、どうでもよかった。
俺はただ、手足を動かし、目の前で繰り広げられる戦いを止めたかった。
これ以上仲間達が傷付けられる事が許せなかった。

『戦いを止めるためには……過去を知らなきゃいけない……
 少しだけ、付き合ってくれる?』

俺は悩む事なく
『それで仲間達を助けられるなら』と強く念じた。
するとその瞬間、俺の視界が様々な色の光で埋め尽くされていった。

青……
赤……
白……
黒……
黄……
数えきれぬ程の様々な色……





そして、意識が戻ると俺は、白く、殺風景な施設の中に存在していた。
存在しているといっても、そこに俺の肉体はなく、
ただ、意識だけがそこにあるようだった。

俺は一体どうなってしまったのか……
そして、ここはどこなのだろうか……?
さっきの声は……?
今もスピカ達は、アルゴルと戦い続けているのだろうか……?

様々な事を考えていると、再び先程の声が聞こえ始めた。

『……ここは、ゾルダート第1研究所……』

ゾル……ダート……
その名に俺は、過去の記憶が頭を……

『あ、ごめん! 自己紹介を忘れてたね!
 わたしはミア! ミア・プロティス!
 えへへ~、こうやって自己紹介するの、夢だったんだよね~』

……どうやら、過去の記憶よりも、
今はまず、この『ミア』の声を聞く方が先のようだ。



(星七号の独り言)
久々の更新となり申し訳ありません。

ミア・プロティス。
本家S.S.S.初期構想時点から設定上存在していたキャラクターです。
色々あって本家ではミア・レイドが登場していましたが、
こちらではあえて初期構想版であるミア・プロティスとさせていただいています。

正直、本家と違う事をするのは恐いです。
コレジャナイと思われる危険性は大いにありますし。

それでも、今回
「ミア・プロティス」を登場させた事には意味があります。


ゾルダート第1研究所。
本家では語られなかった名前ですね。
まぁ、この辺についてはそのうちに。


次回更新はまたしても未定ですが、忘れているワケではないので…
お待ちいただけると幸いです…
PR

コメント

プロフィール

HN:
星七号
職業:
ゲーム作ったり話書いたりする人