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Side:Shadow 4「凶星と流星」


 Strong Stars Story
  Side:Shadow
   4「凶星と流星」



「おうちへかえろ~♪」

スピカとニコルが仲良く歌っている中、俺達は迷いの森を進み、出口へと近付いていた。
ここからならば、港街へもそう遠くはない。

「……スピカ、ニコルを送り届けてもらっても良いか?」
「良いけど……っていうか、私はそのつもりでいたから。
 アナタはどうするの?」
「ニコルの情報をくれたディアナという女に会ってくる。
 少し、話したい事があってな」

俺はスピカ、そしてニコルと別れ、迷いの森を、隣街へ向かって進んでいった。





迷いの森を歩いていると、「スターオーブ」がぼんやりと黄色い光を放ち始めた。
アルゴルからはこんな話は聞いていない……急ぎオーブを手に取ると、
仮面を身につけた1人の男のイメージが頭の中に浮かんだ。

オーブと、不思議な感覚に導かれるように、歩き続けて行くと、
俺の目の前に先程のイメージ通りの仮面の男が姿を現した。

俺は咄嗟にスターオーブを隠そうとしたが、
何故か身体の自由が効かず、仮面の男にオーブを見られてしまった。


「……貴様ァァァッ……!
 何故、貴様がそれを持っているッ!?」

仮面の男は腰のホルスターから銃を抜き、その銃口を俺へと向けた。

「貴様……貴様は何者だッ……!?」
「……通りすがりの冒険者だ、一応な。
 他人(ひと)に何者かと尋ねる前に、お前が何者なのかを名乗るべきだと思うが?」

「……『断罪の凶星』……
 『散りゆく者』が知るのは、この名だけで良い」

断罪の凶星と名乗った男は、俺に銃口を向けたまま、1歩ずつ近付いてきた。

「死にたくなければ質問に答えてもらう……
 何故貴様がそのオーブを持っている……?」
「……ある人物から預かっている」
「ある人物とは……何者だッ!?」

男の口調がより険しくなった。

この男ならば、アルゴルの過去の手がかりを何か知っているのかもしれない。
しかし、この時の俺は、相手に全ての事情を説明する気にはとてもなれなかった。

「……お前にそれを教える義理はない」
「そうか……なら……」

男は二丁の銃を構え、俺に向かって発砲した。

「力ずくで、訊かせてもらう……ッ!」

俺は放たれた弾丸を鞘に納めたままの刀ですべて弾いた。
瞬時に男は俺に接近し、銃に取り付けられた短剣で何度も斬りかかったが、
俺は全ての攻撃を避けつつ、男の背後へと回り込んだ。

「……無闇に戦って、腹を空かせるつもりはない。
 落ち着け、まずは穏便に話さないか」

俺の言葉に、納得がいかなそうな表情で振り返りつつ、
断罪の凶星と名乗った男は武器を下ろした。

これが、この男の全力だとは思っていないが、
小手先の威嚇では効果がない事を、相手も理解したのだろう。

「……貴様が持つオーブは、俺達の『忌まわしき過去の証』。
 貴様のような『散りゆく者』が安易に関わるべきではない……」

男は銃をホルスターに納めながらそう呟いた。

「『断罪の凶星』、『散りゆく者』、『忌まわしき過去の証』……
 お前が何を言いたいのか、まるでわからん」

「貴様が理解する必要はない……
 だが、貴様にオーブを渡した人物が『鍵を握る者』だという事は確かか……
 貴様とはまた相見える事になるだろう……」


そう言い残し、断罪の凶星は立ち去ろうとした。

「待て……俺はテンジだ。
 お前の名は?」

「言ったハズだ、散りゆく者に名乗る名はないと……
 それに……貴様の名に興味などない。
 いずれ、散りゆく者の名など覚える意味がないからな……」

結局何者であるかもわからないまま、「断罪の凶星」は去っていった。


……動いたせいで、少し腹が減った。
俺は空腹感を紛らわしながら、早足でディアナのいる街へと向かった。





「ナガサーに会った……!?
 それは確かなのか!?」
「あぁ、本人がデリテリオのナガサー……そう名乗っていた」

ディアナは何かを考えるように、俺の話を聞いていた。

「……情報、助かるよ。
 まぁ、アンタが本人をここまで連れてきてくれたがそれがベストだったんだが」

「……すまん。
 そこまで気が回らなかった」
「気にする事はないさ。
 また何かわかったら教えてくれ」

俺はその後、ディアナに「断罪の凶星」という人物に関する情報はないか尋ねたが、
特にこれといった情報は得られなかった。





港街に戻った俺は、トルシュ邸を訪れた。
ニコルを無事に連れ帰ったのはスピカであり、
俺は力になっていないと説明し、報酬は受け取らなかった。

少しだけでも受け取って欲しいとトルシュは食い下がったため、
持ち運べる軽食をもらい、 「ニコル捜索」の依頼は無事、完了した。

スピカの様子を見に向かったが、スピカはベンチに腰かけたまま、眠っているようだった。

「……あなたがテンジさんという冒険者の方ですかな?」

俺は頭髪のない老人に話しかけられ、肯定した。

「私はラザン……さっきスピカさんが君の話をしていたよ」
「……そうか」
「私などが、こんな話をするのは、出過ぎた真似かもしれないが……
 出来ればあなたには、スピカさんの力になってあげてもらいたい」

ラザンはどこかスピカを心配するような眼差しで見つめながら、そう話し始めた。

スピカは1年以上前にこの街を訪れ、数々の人の悩みを解決し続けた。
人々はスピカを大いに歓迎したが、
休まず、1人で頑張り続けるスピカが時々心配になるのだという。

「……私達も本当はスピカさんの力になりたいのだが、
 スピカさんは私達に遠慮している様子……
 同じ冒険者である、あなたならば力になれるのではないか……そう思うのです」

「……そうか」

確かに、出逢って間もない俺ですら、スピカは常に気を張り続けているような印象がある。
この街の人々は俺以上にスピカのそんな姿を見てきているのだろう。

「……うぅん……
 ……ぃ……さん……」

スピカは、どんな夢を見ているのだろうか。
せめて夢の中では、頑張らずにいられると良いのだが……



(星七号の独り言)
いつも1話の長さは「大体こんな感じ?」
+こちらの都合(ここで終わらせたい、ここから始めたい)で決めています。
厳密に文字数や行数で管理はしていないので、微妙に長かったり短かったりします。
ご勘弁ください。

また、脳内では「ここからここまで」で1話だろうと思っていたのが、
文章にしたら想定よりボリュームがあって分割するパターンもあります。
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星七号
職業:
ゲーム作ったり話書いたりする人