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爽やかな「風」と共に(非公式アルゴルSS)

雲ひとつない、爽やかな青空の下で、アルゴルは「デイブレイク」の開店準備を行っていた。

今日はどんなお客さんが来るだろう?
今日はどんな事が起きるのだろう?
爽やかな風を受けながら、アルゴルは優しげな笑みを浮かべた。

そんな時、アルゴルはある「声」に気が付いた。
誰かが「助けを求めている」。
アルゴルは声に導かれていくと、そこには、1羽の小鳥の姿があった。

どうやら羽を怪我しているようだ。
小鳥は弱々しい声で鳴きながら、羽ばたく事も出来ずに、その場でもがいていた。
そんな小鳥をアルゴルは放っておけず、ランドルフに許可を取った上で、アルゴルは店の奥で、小鳥の怪我が治るまで面倒を見る事にした。


さて……どうしたものか、と悩むアルゴルに、ランドルフが「アルゴル、お客さんだよ」と声をかけた。
ランドルフに案内され、店の奥へやってきたのは、アルナとアイリだった。

「やっほー、遊びにきたよ!」

元気に明るく挨拶をした、アイリだったが、2人はすぐに怪我をしている小鳥の存在に気が付いた。
アイリは指を鳴らし、店内で待機していた執事・コーイを呼びつけた。

「コーイ、近くの獣医の先生から小鳥ちゃんのお薬貰ってきて!」

アイリに続き、アルナもメモを書き、それをコーイに手渡した。

「わたしの部屋の3番目の本棚の上から2段目にその本がありますから、持ってきてください。
 コーイさん、よろしくおねがいします」

2人のお嬢様にお願いされ、コーイはやる気に満ちあふれた顔で店を飛び出していった。

「まずは、小鳥ちゃんの体温を下げないように、温かくしてあげた方がいいかも……」
「何かしてあげられる事はないかランドルフさんに聞いてみるね!」

小鳥のために、テキパキと行動する2人を見て、アルゴルは嬉しくなった。

「ボクにも出来る事、ある?」
「じゃあ、名前考えてあげて!
 いつまでも小鳥ちゃんじゃ不便でしょ?」

アイリにそう言われ、アルゴルは一瞬考えた上で、「風に乗って再び羽ばたける」ように、風を意味する「ヴェーチェル」と名付けた。

「ヴェーチェル……うん、いい感じ!」
「チェルちゃん、早く元気になってね?」

アルナとアイリは、優しく小鳥……ヴェーチェルに呼びかけていた。


それから、アルナとアイリだけでなく、スピカやサビク、仲の良い冒険者や、ルファクまでもが助けになりたい、とデイブレイクを訪れていた。
大勢の人間に囲まれてはヴェーチェルが怖がるかもしれない、という事で、
接する時は必ず少数で、そして、優しく接し続けた。

みんなで面倒を見続けた甲斐もあり、ヴェーチェルの傷は日々癒えていき、また羽ばたけるようになるまで、そう長くはかからないであろう状態まで回復していった。


そんなある日の夜、アルゴルは1人、ヴェーチェルに向かって、優しく声をかけていた。

「キミとボクは、良く似てるね。
 キミがみんなに助けられているように……ボクも、みんなに助けられている……」

アルゴルも、以前は傷だらけだった。
背負った過去、大人たちの思惑、歪んだ理想、受け入れられない現実、死……
壊してしまったもの、終わらせてしまった生命……
自らの中の闇……絶望……
数えきれないほどの消せない傷に、苦しみ続けていた。

それでも、今のアルゴルがあるのは、「みんな」がいたから。
ヴェーチェルはアルゴルの優しげな顔を見上げ、首を傾げていた。

「ふふっ、ごめんね。
 ……もう少しすれば、風は吹くよ。
 風が吹けば、また、翔べる。
 キミも……ボクも……」

それから数日が経ち、ヴェーチェルはアルゴルたちに見守られながら、青空に向かって羽ばたいていった。
その1ヶ月後……


「休みが欲しい……?」

アルゴルは、ランドルフに休暇が欲しいと話していた。

「はい。
 ボクも、少し旅をしてみたいんです。
 ボクたちが生きていく、この世界の事をもっと良く知りたいから……」

アルゴルの真剣な眼差しを見たランドルフは、優しく微笑んだ。

「可愛い子にはなんとやら……か。
 行ってきな。
 看板息子がいなくなるのは寂しいが……帰って来るんだろう?」
「もちろん!」

アルゴルは満面の笑みを、ランドルフに見せた。


旅立ちの朝。
デイブレイクを出たアルゴルは、爽やかな風を受けながら、優しげな笑みを浮かべていた。

そんな時、アルゴルはある「声」に気が付いた。
アルゴルが、声の方を振り向くと、そこには、仲間たちと佇むヴェーチェルの姿があった。

「ヴェーチェル、ボクも、頑張って翔んでみるよ。
 ……いってきます!」

アルゴルは歩き出した。
頭上には、雲ひとつない、爽やかな青空が広がっていた。



(後書き)
ハッピーバースデー、アルゴル!
こうして表立ってお祝い出来るのは初めてですね。

去年、誕生日記念に書いたお話がなかなか重い話だったので、今年は絶対、明るくほんわか系の話にしたい!というのが根本にあり、考えた結果、こうなりました。
(そして誕生日には間に合わせるぞ、というのも根本にありましたw)

アルゴルには、籠の中の鳥のようなイメージがあり、一度自分の羽で思う存分羽ばたかせたい、という気持ちから書いた話です。

あとは「青い鳥」の話のように、最後は少し成長して、自分の居場所に帰って来る…そのためのプロローグという意味合いもあります。
アルゴルには帰れる場所、自分の居場所がある。
それって、凄く幸せな事ではないでしょうか。
そういう意味でも「青い鳥」の話はなんとなくイメージしているのかもしれません。

あとは、アルゴルと双子の絡みはなかなかレアなんじゃないでしょうかね?
脳内ではわりとアルゴルとアルナは仲良さそうなイメージあります。
(どっちもアル~だから?)

アルナが本貸してあげたり、アルゴルが困ってるアルナにアドバイスしてあげたり。
(それを物陰から仮面のお兄ちゃんと執事がガン見してたり)

アルゴルに関してはS.S.S.のもう1人の主人公的存在でもあるのですが、イマイチ本編だと描ききれてない部分もあって、
そこが二次創作的な意味では「想像の余地がある」とも言えますが、自分としては「もっと書きたい」んですよねw
そこら辺は来年、何かやれたら良いなぁ、としばらく前から水面下で動いてます。

そういえば、アルゴルは初期ラフだと後ろ髪が跳ねてなくて、なんかすっきりしすぎて物足りない…と跳ねさせてもらった事を思い出しました。
いっぱい寝てたのでもしかすると寝癖ですかね(違)?

大切な我が息子へ。
お誕生日おめでとう、生まれてきてくれてありがとう。

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コメント

1. おねーちゃん(ずーずーしい)は嬉しいゾ☆

 アルゴルは色々辛い立場にいるキャラですが、根が良い子なので、一歩一歩前を向いて進んで行ってくれると信じています。

 というわけで、ハッピーバースデーアルゴル!!
 おねーちゃんはプレゼント間に合わなくてごめんなしゃい…_| ̄|○;|||

Re:おねーちゃん(ずーずーしい)は嬉しいゾ☆

アルゴル「ありがとう。
  お祝いしてもらえるだけで充分嬉しいよ。
  本当に、いつもありがとう」

お祝いありがとうございます。
アルゴルの未来が良いものになるよう、時には手を差しのべてくださると嬉しいです。

2. アルゴル、永遠の20歳(?)おめでとう!!

 切り絵は間に合いませんでしたが、色々終わった後のお楽しみに取っておきます。
えへへへ切るの楽しいよえへへへへへ(おまわりさんこいつです)

 アルゴルは小動物に好かれそうなイメージがあります。
 仲良さ気なアルゴルとアルナ、いいですねぇ。 周囲の空気までふんわりしそう。
それを物陰から見守る(?)仮面の兄ちゃんと執事衆に噴きましたw
私もニヨニヨしながら見守り(?)たいw
 アルゴルの髪、寝癖だったんか… ほらほら、直しちゃるけんこっちおいで(怪)

 ヴェーチェルちゃんとアルゴルの行く末に幸あれ!

Re:アルゴル、永遠の20歳(?)おめでとう!!

アルゴル「ありがとう。
  色々と忙しいみたいだけど、無理はしないでね。
  ボクも応援してるよ」

お祝いありがとうございます!

永遠の20歳…20歳…20歳かぁ…(自分の事を考えながら)
アルゴルは見た目が若く見えるので、年齢を重ねてもあまり雰囲気変わらなそうですよね。
ヒゲダンディになったアルゴル(デイブレイクの二代目店主)とかも見てみたい気はしますがw

見守るついでに仮面のお兄ちゃんと執事が邪魔しないように制止しておいてくださいw

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星七号
職業:
ゲーム作ったり話書いたりする人