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Side:Shadow 1「青い光の導き」


 Strong Stars Story
  Side:Shadow
   1「青い光の導き」


俺は、アルゴルの代わりに強き者……「完全無欠の冒険者」と出会い、
その強き力を確かめるため、港街を訪れていた。

アルゴルから預かった不思議な光を放つ水晶玉……「スターオーブ」を取り出した。
どうやら、これを持っていれば、不思議と「強き者」の居場所が理解出来るらしい。
何故このオーブにそんな力があるのかは、アルゴル自身にも良くわからないようだ。

そして、アルゴルが言うには
この「スターオーブ」を絶対に第三者に見せてはいけないのだという。
この不思議なオーブの存在と、アルゴルの失われた記憶……何か関係はあるのだろうか……?

そんな事を、俺がどれだけ考えたところで、何かがわかるハズもなく……
俺は、不思議な力に導かれるように、港街を歩き続けた。

ある路地を抜けたあたりで、スターオーブはぼんやりと青い光を放ち始めた。
俺の目の前には、あの時、頭の中に浮かんだイメージ通りの「青い髪の少女」の姿があった。

「スピカさん、おかげさまで助かりました!
 今度、お礼にケーキでも買ってきますね!」
「いえいえ、気にしなくていいですよ。
 また困った事があったら、いつでも言ってくださいね、キャシーさん」

そう言って、スピカは優しく微笑んだ。

「あ、スピカおねえちゃんだ!
 きのうはインディをみつけてくれてありがとう!」
「ワンワン!」
「ミミィちゃん、
 何かあったらまた言ってね。
 インディもミミィちゃんと仲良くね!」

犬を連れた小さな少女もスピカにお礼を言っていた。
会話から察するに、どこかに行ってしまった犬をスピカが見つけてあげたのだろうか。

その他にも様々な人物がスピカに挨拶や、お礼をしていた。
青い髪の少女「スピカ」は、まるで何でも屋のように、
街の人々の悩みを解決しているようだった。

スピカもまた、「お人好しの冒険者」なのかもしれない。
俺がそう思っていた頃、眼鏡をかけたどこか頼りない男性が、
「スピカさーん!」
と情けない声を上げながら駆け寄ってきた。

「ハイデルさん……?
 どうかしたんですか……?」
「たっ、大変なんですっ!
 ラザンさんの家の方で、見慣れないモンスターが暴れていて……っ!」

ハイデルという青年の話を聞いたスピカの表情は、一瞬のうちに凛々しいものへと変化した。

「わかりました、私がなんとかします!」

スピカは、布にくるまれた何かを持ったまま、
モンスターが暴れているという場所へと走り出した。

……これは、スピカの力を確かめるには良い機会だろう。
俺は、スピカの後を追いかけた。





現場付近に到着すると、スピカが獣人型モンスターを前に、
布にくるまれたものを構えていた。

「救世の剣……
 サクレ・ソヴァール……!」

スピカがそう言いながら布を取り払うと、
不思議な輝きを纏った、十字の刀身を持つ剣が姿を現した。
装飾には純白の羽根があしらわれ、武器としての勇ましさよりも、
芸術品のような美しさが強く感じられた。

「……ちょっと痛いけど、ごめんね……っ!」

スピカは間合いを詰めながら、鮮やかな剣技を放った。
純白の羽根が舞い上がると、獣人型モンスターは必要以上に傷付く事なく、
一瞬の攻撃によって気を失い、その場に倒れた。
おそらくは、スピカが自らの内に秘めた力を剣に乗せ、浴びせたのだろう。

……大した腕前だ。
細身の少女が、まさかこれほどの力を持っているとは思わなかった。

だが……本当に、この剣術こそがスピカの強さと言ってしまって良いのだろうか。

確かに、スピカが実力者である事は確かなのだろうが、
アルゴルが言うような「強き者」、
「完全無欠の冒険者」というには、あまりに普通すぎるのではないか……
俺は、そう思い始めていた。

「スピカさん、大丈夫ですかっ!?」

先程のハイデルという男が騎士達を連れて、スピカの傍へと駆けつけた。

「えぇ、心配いりませんよ」

スピカは、まるで軽い運動でも済ませたかのような爽やかな笑顔を見せた。

「それならよかったです……」
「スピカさん、ご協力感謝します。
 このモンスターは騎士団で預かりますので、後はお任せください」

騎士達がモンスターを連れていくのを心配そうに見つめながら、スピカは小さく呟いた。

「……あの子……これからどうなるのかな……」
「えっ?」

ハイデルは、不思議そうにスピカの顔を見た。
それに気が付いたスピカは、「いえ、なんともないですよ」と平然を装っていた。





その後も港街を歩いていると、何度もスピカが人助けをしている姿を目撃した。
これならば、スターオーブなどなくても簡単にスピカを見つけられたかもしれない。

人々のスピカを慕う姿に、
スピカはこの街の者達には必要不可欠な存在なのだと、俺は理解した。

そんな事を考えていると、執事のような服装をした一人の男が、俺に声をかけてきた。

「あの……冒険者の方、ですよね……?」
「……一応、な」
「今、旦那様が冒険者の方を探しておりまして……
 もし、お時間がありましたら、少しお話を聞いていただけないでしょうか……?」

スピカの人の良さに、知らず知らずのうちに影響されたのか、
俺はこの執事と共に、トルシュ邸へと向かった。





「こちらです」

執事に案内されたトルシュ邸は、いかにも富豪が住んでいそうな大きく、豪華な造りだった。

執事が入口の扉を開き、俺を奥の部屋へと案内すると、
そこにはこの家の主であるリッシュ・トルシュと、スピカの姿があった。

「……スピカさん、
 それでは、よろしくお願い致します」
「はい、ニコル君は私が見つけてみせます!」

そんな会話を交わした後、スピカは部屋を後にした。
玄関へと向かうスピカと、一瞬目が合った。
スピカは俺に対してなのか、隣にいる執事に対してなのかはわからないが、
小さく頭を下げ、そのまま去っていった。

「冒険者様、こちらへどうぞ」

俺は執事に案内され、トルシュの待つ部屋へと入っていった。





「ご足労いただきまして、誠にありがとうございます。
 私は、リッシュ・トルシュと申します」

絵に描いた豪邸の主に相応しい、
絵に描いた紳士のような男、トルシュはそう言って頭を下げた。

「テンジだ。
 ……挨拶は良い、何か用があるのか?」

俺がそう問いかけると、トルシュは少し言いづらそうに口を開いた。

「実は、私の息子のニコルが友人と、その保護者の方とピクニックに出かけたのですが、
 隣街の近くではぐれてしまったそうなのです……」

その辺りは、一歩道を間違えば人を襲うモンスターも生息すると言われる場所だ。
トルシュの声色から、息子の安否が心配である事が伝わってきた。

「ニコルはまだ幼い子供……
 今頃は、心細い想いをしているに違いありません……」
「私が、私がお供していたら……っ!」

執事がそう嘆いた。

「言うな、バートラ。
 お前に責任はない」

「……なるほど。
 それで、そのニコルという子供を探して欲しい……そういう事か」
「……その通りです。
 報酬は言い値でお支払いします、なんとか、よろしくお願い致します……」

トルシュは、再び頭を下げた。
この必死さ……これが子を持つ親の気持ちというものなのだろうか。

「だが、既にスピカにも依頼をしているんだろう?
 二重に依頼をする事に問題はないのか?」
「スピカさんは、確かに腕の良い冒険者だと聞きます。
 しかし、事態は一刻を争います……
 捜索の手は、多い方が良いのです……」

トルシュの言葉は、裏を返せば
「捜索に協力してくれれば誰でも良い」という事を意味していた。
だが、その考えこそが子を想う親の「必死さ」なのだと考え、俺は小さく頷いた。

「わかった。
 ニコルの写真を一枚貰えるか?
 他にも、手がかりになりそうな情報があればなんでも教えてくれ」
 


(星七号の独り言)
続きの公開はもう少し後にしようかと思っていたのですが、
本業の方が忙しくなりそうなので、とりあえず1話だけ公開。
毎回このペースで書けるよ!というワケではなく、今回はストックからの公開なので…はい…

なかなかスピカさんと接触出来てません。
もうすぐ、たぶんもうすぐ。

そして、なかなかテンジが喋ってませんw
ナズェミテルンディス!!状態。
大丈夫、ぼちぼち絡むから。

ちなみにこの話まではテンジの視点のみで物語が進んでいますが、
シーンによっては視点が別のキャラクターに移る場合がある事を予め書いておきます。
それによってゲームでは表現しづらい部分も表現可能に…なる…ハズ…
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ゲーム作ったり話書いたりする人