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Side:Shadow 10「炎 ~絆の力~」


Strong Stars Story
  Side:Shadow
   10「炎 ~絆の力~」


「腕が折れても、足が折れても、剣が折れても……
 絶対に、心は折らない……っ!!」

そう思っていても、圧倒的な力を持つ敵、ニードラを前に私は苦戦を強いられていた。
何度攻撃をしても、私の剣は相手に届かない。

そんな時、私に向かってテンジがこう言った。

「スピカ、攻撃を続けろ!
 超反応の突破口は見えた……ッ!」

……本当だろうか。
こんなに強い敵に、本当に突破口なんてあるんだろうか。

「……考えるな!
 今は……俺を信じろッ!」

テンジの瞳は、あの頃の『兄さん』のものと良く似ていた。
熱を秘めた、真剣な眼差しを前に、私は頷いた。

そうだ、いつだって可能性はゼロじゃない。

私は……信じる!
テンジを……この先にある、勝利を……!





スピカがニードラに攻撃を仕掛ける瞬間、俺は背後に回り込み、背後から攻撃を繰り出した。

「今だスピカ! 翔(と)べッ!!」

前方から、跳び上がりながら斬り上げるスピカと同時に、
俺は後方を跳び、頭上から叩きつける二重の攻撃を放った。
いくら「超反応」を持っていようとも、この攻撃は防ぎきれない。

「どっ、どっちだァ!?
 まッえ……ぅしろ……したか……うぇがァァァッ!?」

片手では防ぎ切れない攻撃を前に戸惑ったのが最後……
二重攻撃を受けたニードラは、明らかに弱っていた。

「ニードラッ!?」

先程までニヤけ面を見せていたナガサーも、思わずニードラの名を叫んでいた。

「テンジ……これなら、勝てるかも……!」

スピカは驚きつつも、そう言っていた。

「かもじゃない……勝つッ!!
 俺達は火だ! 火は小さくても、合わされば炎になるッ!!」
「……うんっ!
 炎になった私達に、敵はないよっ!!」

スピカは駆け出した。
俺は武器に施された封印を解き放ち、共に駆けつつ、片刃の刀「天狼」を構えた。

「エトワールッ!!」
「駆けろ、天狼! ……斬ッ!!」

スピカの目にも止まらぬ斬撃と、俺の強力な抜刀術を当時に受けたニードラは、
耐え切れるハズもなくその場に倒れ、そのまま意識を失った。

「ニードラぁぁぁぁぁ!?」

「……命を奪う気はない」
「観念しなさい、ナガサー!」

俺とスピカの2人に剣を向けられ、冷や汗をかきながらも、ナガサーは不敵に笑っていた。

「ケケケッ……こうなりゃ奥の手……

 降参だゼッ!」

ナガサーはその場で土下座した。
だが、ナガサーは土下座をしつつ、何かの機会をうかがっている……
それは、火を見るよりも明らかだった。

「スピカ……」
「……わかってる。
 敵の前では最後まで気を抜くな、だよね?」

ナガサーの「やり方」を一度見ていたスピカに同じ手が通用するハズもなく、
ナガサーは俺とスピカによって捕まり、
タミードが呼び出した騎士団によって、ニードラ、バートラと共に連行されていった。

「これで一件落着……かな?」

スピカはそう言って、俺に微笑みかけた。

「……良く頑張ったな、スピカ」

俺もまた、スピカへと笑顔を見せた。





「この度は、本当に、ありがとうございました……
 なんとお礼を言ってよいやら……」

そう言いながら、トルシュは深々と頭を下げた。
ニコルも真似をして、頭を下げていた。

「頭を上げてください。
 ニコル君が無事なんだから、良いじゃないですか」

焦りながら、スピカはそう言っていた。

「報酬の件だが……金はいらない。
 また何か食物を分けて貰えると助かる。
 ……戦いの後は、どうしても腹が減ってな」

空腹に耐えながら、俺はそう言った。

「わかりました。
 一流の料理人に何か作らせましょう。
 スピカさんや、皆さんもご一緒にいかがですか?」

スピカ、ディアナ、タミード、ラザン、キャシー、ハイデル、ミミィ、そしてインディも、
トルシュの言葉に甘え、ご馳走になる事にしたようだ。

うーむ……あまり待たずに食べられると良いのだが……





賑やかな食事会が終わり、気が付くと俺は、夜の港でスピカと2人になっていた。

「今日は星が綺麗だね」

スピカは嬉しそうにそう言っていた。

「あぁ」

俺がそう返した後、しばらくスピカは黙り込んでいた。
どうかしたか? そう俺が訪ねようとした時、
スピカは星空を見上げながら、語り始めた。

「……あのね、私には昔、
 『兄さん』って呼んでた人がいたんだ。
 本当の兄妹ではないんだけど、優しくて、いつも私達を助けてくれて、
 凄く格好良かったし、凄く尊敬してた……
 私もあんな風になりたいって、いつも思ってた」

夜空を、星が流れた。
スピカは悲しみを耐えるような、複雑な表情を俺に見せた。

「……でも、色んな事があって、
 その人はそれまでみたいなヒーローではいられなくなっちゃって……

 ……だから、私が兄さんの代わりに、ヒーローになろうと思ったんだ。
 昔、兄さんが言ってた、
 『一度走り出したら立ち止まるな。最後まで走り続けろ!』
 っていう言葉を胸に……」

そう言った後、スピカは自嘲するように、小さく笑った。

「……だけど、人には限界があるんだね。
 私は……そんな当たり前の事もわからないまま、
 兄さんの幻をただ、追いかけてただけみたい」

悲しそうにそう語るスピカを放っておけずに、俺は閉ざしていた口を開いた。

「……スピカはこの街の人々に頼りにされている。
 俺がこの街に来て、すぐに感じた事の1つだ。
 ……スピカが頼りにされているからこそ、
 ラザン達もお前の力になろうと協力してくれたんだろうしな」

俺の言葉に、スピカは小さく微笑んだ。

「ありがとう。
 ……今回の一件で私がわかった事は、1人では限界だったとしても、
 信じられる仲間がいるなら、乗り越えられる可能性はあるって事かな」
「そうだ。
 1人じゃ出来ない事も、力を合わせれば出来るようになる……
 それが多分、仲間というものなんだろう」

「……うん。
 仲間って、いいよね。
 仲間の存在がこんなに素晴らしいものだって気付けたのは、テンジのおかげかも。

 だから……ありがとう!」

スピカは照れくさそうに笑った後、一呼吸ついた。

「これからは、テンジやみんなと力を合わせながら、もっと頑張ってみようかな。
 『一度走り出したら立ち止まるな。最後まで走り続けろ!』
 だもんね。

 私は私。
 みんなと一緒に、いつか、もっと凄い冒険者になってみせるよ。
 ……これからも、よろしくね!」

そう言った後、スピカは
「なんて、ちょっとクサかったかな?」と顔を赤くして笑っていた。

スピカの笑顔は、満天の星空にも劣らない輝きを放っていた。





「……それでその後、スターオーブの青い輝きはさらに強くなったんだね」

ベッドに腰かけたまま、アルゴルは嬉しそうに俺と会話してていた。

「……いつか、ボクも元気になったら会いに行きたいな、
 『完全無欠の冒険者』に」

アルゴルは天井を見上げながら、そう呟いた。

「……ところでアルゴル……
 『断罪の凶星』という仮面の男を知らないか……?」

俺がそう問うと、アルゴルは目を丸くしながら問いを返してきた。

「……断罪の凶星……?
 ……その人が、どうかしたの……?」

「……すまない、その男にオーブを見られてしまったんだ」

俺の言葉を聞いたアルゴルは、優しく微笑んでいた。

「まぁ、見られちゃったものは仕方ないよ。
 でも、なるべくもうこういう事はないように気を付けてね」

優しく微笑むアルゴルに、
「何故オーブを他人に見せてはいけないのか」
質問しようとした時、ランドルフが俺を呼び出した。

「テンジ、良かったら買い物を頼めないかい?
 俺は料理の下準備で店を離れられなくてね……」

……仕方がない。
アルゴルへの質問はまたにしよう。
聞く機会なら、いくらでもあるだろうからな。

「……わかった、行こう。
 冒険者ってのは、お人好しなモン、らしいからな」



(星七号の独り言)
第9話+第10話で3話分ぐらいのボリュームがある気もしますが、
とりあえずこれでひとまずは「第1章 スピカ編」完結となります!
(1クールアニメみたいに12話完結にすべきだったろうか…)

予定では何ヶ月かかけながらゆっくりやるつもりだったのに、
気が付いたらこんなペースになってました。
どうしてこうなったのかと言えば、多分読んでもらえるという喜びのせいでしょう。

「スピカ編」の基本コンセプトは
もちろん「Side:スピカのセルフリメイク」ですが、
裏コンセプトとして
「スピカの強がり、スピカの苦難、スピカの危うさをもっと描こう」というものがありました。
スピカの持つ「ヒーロー感」の演出として、凛々しさ、華々しさはもういっぱい書いたから、
その内側、裏側を書いていこうと思いまして。

そのために必要な要素として、スピカの心境的描写、
スピカが無理をしている姿をもっと描かなきゃいけなかった。
なので、第5話「完全無欠」は欠かせなかった。

初期構想ではもっと、物理的に大怪我をしながらも無理するスピカを描く気でいたのですが、
シナリオ上の都合でそれは断念、代わりに今回は、精神的な無理を描きました。
グロくしたいワケではないので、これぐらいが調度良かったかな、
と思ったりしますがどうなんでしょうね。

あとはスピカで言えば、テンジに対して
名前を呼ばない → モノローグでのみ『テンジという冒険者』扱い → モノローグでのみ『テンジ』
というステップを経て、うねうね地獄のシーンでようやく名前を呼ぶようになります。
ここも密かに意識した部分です。


腹ペコ系主人公のテンジですが、今回やっと抜刀しましたね。
ここぞという時まで抜かない、焦らし系主人公がやりたいなーと
7年前に考えたキャラクターでしてw

抜かない理由はこれから語っていくつもりです。
基本は打撃。
いや、打撃でも相当なダメージはあるハズなんですが、
その辺りもそのうちわかるハズ…(ごにょごにょ)

本家Side:スピカでは意図的に食事シーンを盛り込んでいましたが、
テンジが腹ペコなおかげで、こちらでは食事展開に繋げやすくなっています。
本家ではややスピカに腹ペコの気がありましたが、
今回はテンジがいる分、役割が変わってますねw



名前:テンジ(天司)
肩書き:冒険者見習い
性別:男
誕生日:9/15
(誕生花:ススキ 花言葉:心が通じる)
年齢:25歳
身長:173cm
趣味:特にないが、空を見るのは好きだ(本人談)
好きな食物:食べられるものならば何でも構わない(本人談)
武器:刀「天狼」
一人称:俺

プロフィールの一部です。
テンジ以外にも各キャラクター新たに作り直しました。

テンジの詳細には
「食べられればなんでもいい」ため 、
スピカが失敗したと思っている料理であろうとも気にせず完食する。
というような事も書いてあります。

スピカには
女性らしさを削るため胸は目立たせない(また胸の話してる)。
と書いてあります。

テンジの誕生日は星七号の翌日である9/14…
ではなく、S.S.S.実装日である9/14にしたかったですが、
花言葉的に9/15の方がしっくりきました。
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プロフィール

HN:
星七号
職業:
ゲーム作ったり話書いたりする人