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Side:Shadow 19「嘘と信頼」


Strong Stars Story
  Side:Shadow
   19「嘘と信頼」

サビクがクラークの首を断ち切ろうとした瞬間、俺達の背後から笑い声が聞こえた。
クラークのものでもなければ、当然俺やサビク、レオンでもない。

光に包まれ、消えていくクラークと入れ替わるように、
見覚えのない女が俺達の前に立っていた。

「ププププッ!
 はぁい、デリテリオのアーシアちゃんだよぉ~♪」

俺達を小馬鹿にするような、ゆったりとした口調で、
アーシアと名乗った女は、笑っていた。

「もう、クラークさん、役に立たなぁい。
 あれでデリテリオの幹部になりたいなんて~、
 笑っちゃ~う、プププププ!
 あとで、“お仕置き”っ♪」

……踊るような目障りな仕草を取りながら、耳障りな口調でそう話すアーシアを、
サビクと俺は静かに睨み付け、レオンは呆気に取られていた。

「……それでお前は、何をしに来たんだ?」

「最初から部屋にいたんだよ?
 気付かなかった~?
 クラークさんの指パッチンに合わせて~、
 アーシアちゃんが魔法を使ってたの~。

 クラークさんが負けそうになったら、デリテリオの名誉を守るために”お片付け“!
 このアジトはしっかり“爆破処分”♪
 そうナガ様に言われてるの~!
 プッププッププ~♪」

ナガサーとこの女、そしてクラークらブラック兄弟の関係には
まだわからない部分が多いが……
今言える確かな事は、レナを守り、助け出すため、
この目障りかつ耳障りな女を倒さなければならないという事だ。

「デリテリオ?だかなんだか知らねェが
 ……俺はレナを連れ帰る」

「それはダメ~♪
 だって~、負けた上に盗んだものも取り返されたら大負けで良いトコなしじゃない♪」

「…… なら、女でも手加減はしねェぞ」

サビクは短剣を構え、俺とレオンも、それぞれ武器を構えた。

「こっわ~い♪
 そんなこわい人は~……アーシアちゃんが“デストロイ”♪」

魔力を集束させたアーシアの炎弾を避けつつ、サビクは短剣で切りかかった。
しかし、アーシアは瞬時にその場から姿を消し、すぐにレオンの背後へと現れた。

「わっ、うわああぁっ!?」
「プププ♪」

いきなり敵が背後に現れ、慌てふためくレオンを嘲笑いながら、
アーシアは魔力を集束させていた。

「レオンッ!!」

サビクの声を聞いたレオンはハッと我に帰り、太剣を強く握りしめた。

「やあぁぁぁっ!!」

レオンは必死で剣を振り下ろす。
アーシアは、魔力の集束を解き、その場から姿を消した。

次にアーシアが現れたのは俺の背後だった。
俺は納刀した「天狼」で背後に攻撃を仕掛けたが、アーシアはそれを避けるために姿を消し、
次はサビクの背後へと現れていた。

攻撃を受けそうになれば、決まってアーシアは姿を消し、逃亡する。
そしてその後は誰かの背後に現れる。
炎弾を作りながら逃亡は出来ないのか、移動と魔力の集束は同時に行わない。

この一連の流れを繰り返しながら、俺達はアーシアと戦い続けていた。

そして、何度か繰り返した際に、サビクは真剣な顔つきで俺とレオンに話しかけた。

「これ以上は時間の無駄だ……諦めて俺は帰るぜ」

そう言って、サビクは影に溶け込むように、その場から姿を消した。

口ではあぁ言っていても、サビクの瞳に宿った炎はまだ消えていなかった。
レオンもそれに気付いていたのか、レオンは俺を見て、小さく頷いた。

「プププ♪
 おに~さんはお姫様もお仲間も、みんな見捨てて帰っちゃったのね~♪
 かっこわる~い♪」

背後に現れては消える、アーシア。
攻撃を繰り出す前に追い払ってはいたが、レオンはやはり戦い慣れていない。
一瞬の動作の遅れからの危機が目立っていた。

そして……レオンの背後に現れたアーシアが炎弾を放とうとした瞬間、
その後ろに現れたサビクが、短剣をアーシアの頬に軽く触れさせた。

「……女の顔を傷付ける趣味はないが、次は容赦なく行くぜ?」

アーシアは本気でサビクを逃げ出したと思っていたようで、
魔力の集束を解き、涙を浮かべながら慌てふためいていた。

「なっ、なんで……あんた、帰ったのにっ!?
 ひっ……ひどい……騙すなんて……」

「酷い真似ならお前もしただろ。
 それにな……俺は、“嘘つき”なんだよ」
「でもボクらはサビクさんを信じてますから!
 ねっ、テンジさん?」

勝ち誇った表情のサビク、そしてサビクを信じていたレオンと俺は、
それぞれ武器を構え、アーシアを取り囲んだ。

「……終わりだ。
 怪我をしたくないのなら、大人しく失せろ」

「……っ……!!」

アーシアは涙を流しながら、姿を消した。

「……消えたか」
「よし、とっととレナを探すとするか……」

俺達がそんな話をしていると、部屋の外からかアーシアの声が聞こえていた。

「ゆるさない……
 あんたたち、絶対にゆるさないんだからね……!」

アーシアがそう話すと、激しい振動と爆発音が響き渡った。

「……!?」
「もう、怒ったんだからっ!!
 あんたらなんて、アジトと一緒に死んじゃえ!!」

「マズい、これ以上は……!!」
「レナ……ッ!!」
「姉さん……!!」

俺達は急ぎ、アジト最奥部の大部屋から出た。
アーシアの姿は、すでにそこにはなかったが、どこかへまた移動したのだろうか。

俺達も早くアジトから脱出しなければならない。
しかし、レナがどこにいるのかもわからず、探しているような余裕もないだろう。


その時、俺の頭の中に、ある“イメージ”が浮かび上がった。


「俺はレナを探す!!
 テンジはレオンを連れて先に戻れ!!」

サビクはそう言っていたが、あの“イメージ“が確かならば……

「急げッ!!」

今のサビクは何を言っても従うとは思えない。
ならば……手荒な真似は、したくないが……やむを得ない。

「サビク……すまんッ!!」

俺は納刀状態の「天狼」を思い切りサビクの頭へと叩きつけた。

「ダッ……テンジ……テメ……ェ……」
「テンジさん、な、何をっ……!?」

サビクは意識を失い、その場に倒れ、
レオンはそれに驚愕し、慌てていた。

「レオン、逃げるぞ!!」

俺は“激しく負傷した我が身”を誤魔化しながら、
意識を失ったサビクを抱え、出口へと向かって走り始めた。

「でも、姉さんが……!?」
「今は俺を信じろッ!!
 大丈夫だ!! 必ずッ!!」



(星七号の独り言)
次回でサビク編はおしまいです。
色々大変な事になってますが、大丈夫です、次回でまとまります。

サビクに「1発殴らせろ」の約束をさせられている中で、
全力でもう1発殴るという酷いテンジ。
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コメント

1. Σ( ̄∀ ̄;!?

 これでお返しが全力2発分に…!!Σ(・∀・;) テンジさん逃げてぇぇぇぇぇ!!!wwwww

Re:Σ( ̄∀ ̄;!?

コメントありがとうございます!

サビクに2発殴られたら
「約束は1発のハズだ」とか言いそうですね。
しかも武器で気を失うだけ殴ってるワケで…反撃がどうなるやら…w

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星七号
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ゲーム作ったり話書いたりする人