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Side:Shadow 2「冒険者、二人」


 Strong Stars Story
  Side:Shadow
   2「冒険者、二人」

トルシュによれば、ニコルはその容姿から女の子と間違われる事も多く、
食欲旺盛……いわゆる食いしん坊と言われる類いの子供らしい。

俺がトルシュの依頼を引き受けたのは、ただトルシュを助けたいというだけではなかった。
この依頼を引き受ける事で、スピカについて、
新しい何かがわかるかもしれないと思ったからだ。


隣街を訪れた俺は、ニコルの行方を知る人物がいないかと周囲を見渡していた。
すると、そこ中に見覚えのある青い髪の少女を発見した。
スピカも俺の存在に気が付いたらしく、こちらへと向かってきた。

「こんにちは。
 トルシュさんの家でお会いしましたよね」
「あぁ……よく覚えていたな」

俺がそう言うと、スピカは愛想よく、微笑んだ。

「私は、スピカ・パルフェイ。
 一応冒険者……っていう事になってるのかな?
 アナタも、何か困ったことがあったら私に言ってね!
 きっと力になれると思うから」

ほぼ初対面の人間にすらこの挨拶。
スピカにとって、人助けは生活の一部になっているのだろう。
そういう意味では、冒険者は天職なのかもしれない。

「テンジだ。
 ……奇遇だな、俺も一応冒険者だ」

俺なりに親近感を持って挨拶をしたつもりでいた。
しかし、

「それじゃあ、アナタもニコル君を……?」

スピカは、ほんの少しだけ動揺しているように見えた。

「……あぁ、そうだ。
 事態が事態だ、探す手は多い方が良いだろう」

スピカは、何かを言おうとして、飲み込んだ。
そして、再び愛想良く笑った後、「それじゃあ、失礼しますね」と去っていった。

一体、スピカは何を考えていたのだろうか。





あの時、どうすれば良かったのか……私にはわからなかった。

私は、困ってる人や助けを求めてる人達の力になりたい。
……昔の『兄さん』のような人になりたい。
そう思って行動してきたつもりだ。

街の人達も、そんな私の存在を受け入れてくれてると思っていた。

だけど、私じゃ、まだ足りないのかな……?
トルシュさんがどうして他の冒険者にも同じ依頼をしたのか
……その理由が私にはわからなかった。
まるでそれが、私自身の力不足が証明されたように思えて仕方がなかった。

……もっと……もっと、強くならないと……!
『一度走り出したら、立ち止まるな』
……そう、私は立ち止まっちゃいけないんだ。

私は小さく深呼吸し、ニコル君を捜すため、街の人達への聞き込みを再開した。





スピカと別れた俺は、情報が欲しいなら「ディアナ」に聞くのが良いという話を耳にした。
そして、俺は人々の情報を頼りに、そのディアナに見事遭遇出来た。

「俺はテンジ……冒険者見習いだ。
 この子供を見かけなかったか?」

俺はトルシュに渡された写真をディアナに見せた。

「……見たような気もするが、この写真だけじゃなんとも言えないね。
 他に何か、この子の情報は?」
「トルシュという富豪の息子で、食いしん坊らしい」

俺が真剣にそう伝えると、ディアナは笑い始めた。

「はははははっ……あの子か……
 見た、確かに見たよ。
 両手に大きな饅頭を持って、嬉しそうに食べてたね。
 この子が、どうかしたのかい?」

俺は全ての事情を説明した。

「なるほど……
 それなら、行き先に心当たりがあるよ」

ディアナが言うには、ニコルは友達とかくれんぼを始め、
そのまま街の外へと出ていってしまったらしい。
この近くには、迷いの森がある。
ニコルはそこに迷い込んだ可能性が高いだろう。

「……すまない、助かる」

俺がそう言うと、ディアナが「代わりにアンタの知る情報をくれないか?」と切り返してきた。

「『ナガサー』……もしくは、『デリテリオ』という名前に聞き覚えはないか?」

俺は「いや……」と首を横に振った。

「もしこれから、そいつらについて知る事があれば、
 どんな些細な事でもアタシに教えてほしい」





俺は、迷いの森へ向かう前に、スピカに接触していた。

「ニコル君が迷いの森に……!?
 どこでそれを……?」

俺は、ディアナが情報を提供してくれた旨を説明した。

「そうだったんだ……
 ありがとう。
 借りを作ったみたいでちょっと悔しいけど、お礼は言っておくね」

スピカはそう言った後で、迷いの森の方へと向かっていった。

貸し借りというような話ではないような気がするが、これもまたスピカらしさなのだろうか……?





迷いの森はその名に違わず、訪れた者を迷わせるほど、複雑に入り組んだ森だった。

僅かに残された足跡を頼りに森の奥深くへ向かっていくと、
そこにはスピカと、斧を持った男の姿があった。

「ケケケッ……オマエもニコル坊っちゃんを捜してるんだろ?
 だがなァ、嬢ちゃん……ここはオレに譲った方が身のためだゼ~?」

斧を持った男はそう言って下卑た笑みを浮かべた。

「……一応聞かせてね。
 アナタはどうしてニコル君を捜しているの?」

スピカの問いかけに、男は呆れ顔を見せた。

「……おいおい、嬢ちゃん、馬鹿なのかよ……?
 このオレが、人助けやそんな理由でガキを捜してるとでもお思いか?
 そんな善人に見えるのかよ、このオレが?」

男は「ケケケケケッ」と品のない高笑いをしていた。
スピカは、そんな態度の男を前にしても顔色一つ変えず、冷静に話を続けた。

「ううん、見えない。
 だからアナタの目的を聞いてるんだよ」

「ハッ! それじゃあ折角だから教えてやるゼ~!
 オレはな~、ニコル坊っちゃんを人質……いんや、丁重に保護して、
 トルシュからたんまり身代金という名の世話代をいただくつもりなのさ~!」

そう言って男は、手にした斧をペロリと舐めた。

男の品のない笑いは止まらない。
スピカは静かに「そうなんだ……」と呟くと、携帯している武器の布を取り払った。

「私はスピカ・パルフェイ。
 一応冒険者っていう事になってるんだ。
 ……アナタには、お仕置きが必要かな?」

「冒険者が恐くて悪事は出来るかよ!
 折角だから名乗ってやるゼ~!
 オレは、『デリテリオ』の『ナガサー』だ!」

デリテリオ……ナガサー……?
記憶が確かなら、ディアナが言っていた名前と一致する……
そんな事を考えていた間に、スピカとナガサーは武器を構えていた。

「だぁらァァァッ!」

ナガサーが思い切り斧を振り上げた瞬間、光を放ちながらスピカの姿は消えた。

「……消えた!?」

ナガサーという男にはわからないだろうが、スピカは素早くナガサーの背後に回り込んでいた。
この動き、相応に鍛えていなければ身に付くものではないだろう。

「エトワール……!」

スピカは流星の如く鮮やかに、素早く何度もナガサーに攻撃を加えた。
スピカの剣の羽根が、美しく舞い上がり、そしてナガサーはその場に倒れた。

「……もう馬鹿な考えはやめて、立ち去りなさい。
 引き返すだけの力はまだあるでしょう?」

スピカはそう言って、剣を下ろした。

「嬢ちゃん……
 オォ……オレが、間違ってたゼ……
 もう、馬鹿な事は考えないゼ……」

ナガサーはそう言いながら、なんとかその場に立ち上がった。
スピカは、ナガサーの意外な言葉に少し戸惑っていた。

……だが、

「馬鹿な考えは捨てて……
 大馬鹿やるゼ~!」

ナガサーは再び斧を手に、スピカへ攻撃を仕掛けた。

その瞬間、俺はしばらく荷物と化していた刀を手に、ナガサーへ接近していた。

「……ッ!」

俺は鞘に納刀したままの『それ』で、ナガサーに対し、頭上から殴りかかった。
ナガサーは一瞬で気を失い、再びその場へ倒れた。

「……アナタは……」
「……テンジで良い。
 敵の前では最後まで気を抜くな、スピカ」



(星七号の独り言)
ケケケおじさん、超久しぶりに書きました。

この時期の主人公(テンジ含む)と話すスピカは、台詞1つ書くのにも凄く気を遣います。
ギスギスしすぎてもいけないし、でもスピカは一方的に壁は作っている状態。
ムツカシイ。

スピカさんが言ってる「エトワール」はフランス語で星という意味ですが、
実はこれ、「エトワール・フィラント(流星)」というスピカさん専用技です。
厳密にはこの「エトワール・フィラント」という技にも
Ⅰ・Ⅱ・Ⅴ・ZEROとバリエーションがあり、
牙突のように状況で使い分けてるのですが、その辺は割愛しておきます。

(追記)
牙突のようにZEROが一番強いワケではないですw
むしろZEROはフェイントや、相手に隙を生じさせるためのポジションです。
うーむ、後日エトワール・フィラント解説でもやるべきか…w
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コメント

1. エトワールと聞くとつい…

 そうか、スピカの正体はコメットさんだったのか!(ぇ)
冗談はおいといて、物語初期の頃のちょっとよそよそしいスピカちゃんも可愛い。
萌え語りもさておいて、専用技持ちですか!! ロマンだロマンだ!!
状況で使い分け…、ブロックや受け流し、反撃などで名前が変わるのでしょうか?
他の皆も固有の技を持ってそうですね。

Re:エトワールと聞くとつい…

コメット…もとい、コメントありがとうございます!

星七号はコメットさんは名前ぐらいしか知らないのですが、原作って横山光輝先生なんですねー。
むしろコメットと聞くとつい赤い彗星が浮かぶガンダム好きです、すみませんw

>専用技持ち
ロマンですね!
格ゲー的発想から、同じモーションで攻撃を開始するが、
移動距離や攻撃方法、攻撃回数が違い、相手に次の動きを読まれにくい
とかいう妄想ですw

プロフィール

HN:
星七号
職業:
ゲーム作ったり話書いたりする人