当ブログのSSは個人的に作成した非公式なものです。それを踏まえてご覧いただけると嬉しいです。 忍者ブログ

あくまで非公式です

ラグナロクオンラインのクエスト「Strong Stars Story」関連の非公式SSサイトです。はじめての方は「はじめに」をご覧ください。 ©Gravity Co., Ltd. & LeeMyoungJin(studio DTDS) All rights reserved. ©GungHo Online Entertainment, Inc. All Rights Reserved

Side:Shadow 3「戦い、終わって」


 Strong Stars Story
  Side:Shadow
   3「戦い、終わって」



「敵の前では最後まで気を抜くな、スピカ」

テンジと名乗る目の前の冒険者の姿が、私には一瞬『兄さん』と重なって見えた。

「……う、うん……」

私、おかしくなってないかな……?
とりあえず、落ち着かないと……
私は、小さく深呼吸をして、自分自身を落ち着かせた。

「……そういえば、この人は……」

さっきまで私が戦っていた、ナガサーという男は、倒れ、意識を失っていた。

「……安心しろ、死んではいない。
 すぐに目を覚ますだろう」

そう言って、テンジという冒険者はナガサーを放置したまま森の奥へと進もうとしていた。
私は、立ち去ろうとするテンジという冒険者に、言わなければいけない事がある気がして、
「待って……!」そう呼び止めた。

「……ニコル君を見つけるのは、私が先だからね……!」

なんだか、心がモヤモヤする。
本当に私が言いたかった言葉は違うものだったのかもしれない。
でも、私の口からは、この言葉しか出て来なかった。
どうしてこんな気持ちになるのか、
私自身にもわからないまま、私は森の奥へと進んでいった。





森を進んでいくと、少し開けた場所に出た。
そこには、小動物型モンスターと戯れている少年、ニコルの姿があった。

「ニコル君っ!?」

慌ててスピカが駆け寄った。
ニコルは、何が起きているのかもわからないまま、
「おねーちゃん、だれ?」と問いかけていた。

「えっとね……ニコル君のお父さんに、ニコル君を捜してって頼まれたんだよ」

スピカは子供にもわかるような言葉を選びながら、優しい笑顔でそう答えた。

「ニコル君は、ずっとここにいたの?」
「うんー!
 このこたちと、あそんでたんだー!」

ニコルは満面の笑みを浮かべた。
その笑顔を前に、スピカは安堵のため息をついているようだった。

「ねーねー、おねーちゃん」
「どうしたの?」
「ぼく、おなかすいちゃった!」

ニコルは変わらず笑顔のまま、そう言っていた。

「それじゃあ、街に戻って、お家でご飯食べよう? ねっ?」

スピカはそう返したが、

「やだやだ! おなかすいたのっ!
 たべなきゃあるけないーっ!」

とニコルはその場に座り込んでしまった。

「……困ったなぁ……」

そう言ってスピカが荷物の中から、小さなチョコレートを取り出した。

「これぐらい……しかないけど……」

スピカがチョコレートを見せると、ニコルはその瞳を星のように輝かせた。

「チョコだいすき!
 ちょーだい、ちょーだい!」

スピカは「トルシュさんに怒られないかな?」と心配しながら、
ニコルにチョコレートを手渡した。
ニコルは嬉しそうに、チョコレートを味わっていた。

そんな姿を見ていた俺は……

……

「ぐぅー……」

……

「腹が、減った……」

俺は、自分自身の空腹に気が付き、自然とそう呟いていた。
立っているのも辛くなり、俺もまた、その場に座り込んだ。

「えぇっ、アナタも……!?
 でも、チョコはもうニコル君が食べちゃってるし……」
「あげないよー!」

スピカは慌てながら、再び荷物を探っていた。
そして、何かの存在に気付き、それを取り出した。

「……えっと……サンドイッチならあるけど……
 あるんだけど……これ、私が作ったやつなんだ……
 やめておいた方が、良いよね……?」

スピカは弁当箱からサンドイッチを取り出しながら、顔をひきつらせていた。
何故そんな反応をしているのか、俺にはわからない。

「……俺は問題ない」

俺の言葉に、スピカは顔を赤くしながら、

「私、料理上手じゃないから……!
 他人(ひと)様にあげられるような出来じゃないから……!」

そう言って慌てていた。
すると、ついにはサンドイッチをその場に落としてしまった。

「ご、ごめんねっ……!?
 やっぱりこれは、やめておいた方が良いって事だよね……っ!?」

そう自分に言い聞かせるスピカを前に、
俺は躊躇なく地に落ちたサンドイッチを拾い上げた。

「……いらないなら、貰うぞ」

スピカは
「落としたのなんて、ダメだよっ!?」
と引き続き慌てていたが、俺は
「大丈夫だ、気にしない」
と返した。

「……いただきます」

俺はスピカが作ったという、不恰好なサンドイッチに噛みついた。

「だっ……大丈夫……?」

スピカは心配そうに俺を見ていた。
俺は、そのまま全てを飲み込んだ。

「ご馳走様……美味かった」

俺の言葉を聞いたスピカは、何故か照れながら、笑っていた。
何故、スピカがそんな表情を浮かべていたのか、俺にはわからなかったが……
笑っているのならば、問題ないだろう。





「それじゃあ、ニコル君、一緒に帰ろっか?」
「うんー!」

スピカはニコルと手を繋ぎながら、森の中を歩いていた。
そんなスピカ達を後ろから眺めながら、俺はスピカに話しかけた。

「子供に慣れているんだな」

「まぁ……ね。
 前に小さい子の面倒を見てた時期があったから、かな?
 結構こういうの、楽しいんだ」

そう言って、スピカは穏やかな笑みを浮かべた。

「あの子達、今頃どうしてるのかな……?」

そう言って、スピカは空を見上げた。
そこには、雲一つない爽やかな青空が広がっていた。





その頃、近くにある丘の上で、仮面を身につけた1人の男がたたずんでいた。

「……ミア……俺は行く……
 全てを終わらせるために……」

そう言って、男は首飾り状に下げた指輪を強く握りしめていた。



(星七号の独り言)
拾い食いはやめよう!
お腹壊すよ!
テンジの真似はしないでね!
この人、結構アレな人だから!
野良犬みたいなものだから!

…言っておかないと、真似されるかもしれないのでw

(ギャルゲー展開も挟みつつ、)いよいよ仮面の彼が登場。
彼は一体、何者なのか!?

そんな、こんなで続きます。





仮面の人「……ミア、聞いてくれ。
 やっと俺にも出番が回ってきたんだ。
 デイブレイクでの出番がなくなった事を知った時は、
 星七号にクレームでも入れてやるべきかと悩んだが……
 無事、俺にも出番が回ってきたんだ……」
PR

コメント

1. さ、3秒以内ならセーフだから!(必死)

 冒険者は野性味溢れるサバイバーという意味で、元々野良犬寄りだと思ってます。
テンジさんは食いしん坊キャラかしら?
食べ物を粗末にするのは良くないからね、うん!
…でも拾い食いはばっちいからペッしなさい、ペッ!

 テンジ… あんた… イケメンかよ…!!
雨にも負けず風にも負けず(中略)
スピカちゃんの手料理を食べて顔色一つ変えずに「御馳走様」と言える、
そういう漢(モノ)にわたしはなりたい(ぇ)

 仮面の人はデイブレイクにいなかったですね。
出番が回ってきて内心えらくご満悦な彼の表情が目に浮かぶようですw

Re:さ、3秒以内ならセーフだから!(必死)

コメントありがとうございます!

>テンジさんは食いしん坊キャラかしら?
食いしん坊というより腹ぺこキャラですねw
まだまだテンジには明かしていない設定や要素があるので、その辺りも気にしつつ見ていただけると嬉しいです。

>仮面の人
Side:Shadowではデイブレイクが開店前だったりと出る機会を逃してたんですよね。
物語の始まりはなるべくシンプルに、というのもありましたし、
本家と違ってテンジという腹ぺこ無職の紹介も必要でしたから。

次の話では出番にはしゃぐ彼の活躍が見れるのか!?

プロフィール

HN:
星七号
職業:
ゲーム作ったり話書いたりする人