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Side:Shadow 24「少女達の想い」


Strong Stars Story
  Side:Shadow
   24「少女達の想い」


俺達がジェメリー家に戻ると、パーティーは中止となり、
ジェメリー夫人は寝室で横になっていた。

別室に集められたジェメリー家の関係者と、
たまたま居合わせた俺に対し、医者が現状を説明した。

医者の話によれば、ジェメリー夫人は流行り病にかかっていたらしく、
それと心労が重なり、体調が悪化したのだろうとの事だった。

「……申し上げにくいのですが、
 この病は流行のため、特効薬の製造に必要な原料が足りず、
 増産が追いついていない状態なのです……」

医者はまさに、重い口を開き、言いづらそうに話した。

「そこをなんとかしてよ!?
 それが仕事でしょ!?」

必死で医者に迫るアイリだが、

「……努力はします……が……、
 原料を集めようにも人手が足りず、
 中には危険な場所でしか採れないものも必要で……
 このままでは、お届け出来るのがいつになるか……」

医者は、話し辛そうにそう語るのみだった。

重々しい空気の中で、口を開いたのはジェメリー家のメイド、サブリナだった。

「テンジ様……冒険者であるあなたに、
 原料を調達していただきたいのですが、よろしいでしょうか。
 報酬は相応の額をお支払いいたします」

サブリナの表情からは真剣さが伝わってきた。
俺は小さく頷いた。

「……俺にも関わりのある話だ。
 冒険者として、出来る限りの事はさせてもらおう」





……さっき、チラッと見たママの顔は、すごく辛そうだった。

……ママがこんな事になったのは、あたしのせい……?

……ちがう……『流行りの病気』だって、先生は言ってた……

だけど……やっぱり……
あたしが、ママにいらない心配させたから……

……

……『あたしが悪い』んだ……

……

「……あたしも行く」

「アイリお嬢様……!?」

「ダメだよ、アイちゃん……
 アイちゃんが行っても邪魔になっちゃうし……
 それに、危険な場所だって先生が……」

「ダイジョーブ、自分の身ぐらい自分で守るし、
 『おじさん』だっているし。

 ……それより、ママが辛いのに、
 いつ帰ってくるかもわからない『おじさん』を
 大人しく待ってるなんて……ムリ!
 あたしは誰が何と言っても、いっしょに行く!!」





……ダメだよ、アイちゃん……

わたしたちは……きっと、『あの時』と同じ……
『なにも出来ない』……
だから、『なにもしちゃいけない』……

……

だけど、お母さまは『わたしたちのせい』で倒れたんだ。

わたしが、アイちゃんを止められていたら、
わたしが、アイちゃんを連れて、早く帰れたら……
わたしが、おねえちゃんとして、もっとしっかりしてたら……

……

やっぱり、『わたしには、なにも出来ない』んだ……

……

「……アイちゃん……
 これ以上、みんなを困らせるのは、やめよう……?」

「アルナのわからず屋……!
 アルナはママがこのまま死んじゃってもいいのっ!?」

「いやっ……!
 いやだけど……っ……でもっ……」





2人が口論を始めてしまった。

涙を浮かべるアルナ、怒るアイリ……

母が倒れ、その原因に自分達が少なからず関わっているのだと考えれば、
このぐらいの年齢なら、無理もないだろうか。

……しかし、どうしたものか。

『アイリを連れて行く』という事は、それだけ行動に制限がかかる。

いくら、『強き者』であったとしても、
必ずしも戦士として優秀だとは限らない。

それもアイリの性格を考えると……無茶をさせないよう、目が離せない。

……俺が言葉を詰まらせていると、
困ったようなため息を浮かべながら、サブリナが口を開いた。

「……わかりました。
 私も同行し、アイリお嬢様をお守りしましょう。
 アイリお嬢様がいては、テンジ様も目が離せないでしょうから」

サブリナは、俺の考えを見抜いたようにそう言った。

「……待て。
 これから行くのは危険な場所だという。
 アイリに加え、戦いの心得がないメイドまで連れていくのは……」

「ありますよ、戦いの心得なら。
 こう見えても、武術大会で準優勝した事がありますから」

そう言ってサブリナは、優しい笑顔で微笑んだ。

その優しげで、華奢な姿からはとても信じがたい話……だが、スピカの例もある。
その話が本当ならば……アイリを任せられるかもしれない。

「その話……信じて、良いんだな?」
「はい。
 メイドとして、お嬢様を守ってみせます」

サブリナは、優しく、あたたかな笑顔を見せた。

「……アルナはどうするの?
 本当はアルナも行きたいんでしょ?」

アイリがそう言うと、アルナは困ったような顔で悩み、
そして、悩んだ末に、涙を流しながら小さく頷いた。

「……わたし……も……お母さまの力に……なり、たい……」

アルナは、勇気を振り絞ったように、そう言っていた。

……これで4人、か。
俺以外の3人はどんな力を持つかわからない。
……覚悟を決める必要はありそうだ。



(星七号の独り言)
野良犬、お嬢様、お嬢様、メイド。
凄いパーティー編成ですね!
Side:Shadowではアルナ&アイリだけでなく新キャラのサブリナも同行します。

それはそれとして、
なかなか思うように進められておらず、お待たせしております。
これからもマイペース進行が続くかもしれませんが、
出来れば見捨てないでくれたら嬉しいです。

そしてRO15周年、おめでとうございます。

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コメント

1. 羨まけしからんPT編成とか言ってる場合じゃないけども

 野良犬、お嬢様、お嬢様、メイド… しかしハーレム!
例のパーティーを思い出しました。
庶民、お姫様、お姫様、お姫様。 あと1人も王様。

 責任感に駆られて意固地になっちゃうアイリちゃん可愛い!!
泣いちゃってるアルナちゃん可愛い!!
…怒り顔や泣き顔で悦ぶなんて、遂に後戻りできない領域に来てしまったか。
と思ったのですが、以前から自分はこんな調子でしたねすみませんorz
笑顔が一番だと思ってるからまだセーフ!

Re:羨まけしからんPT編成とか言ってる場合じゃないけども

コメントありがとうございます!

>怒り顔や泣き顔で悦ぶなんて、遂に後戻りできない領域に来てしまったか。
アイリに「ヘンタイ!」って言われたり、
アルナに「…ヘンタイさんなんですか…?」
と心配そうに言われたらファイさん喜んでそうですよねw

>笑顔が一番だと思ってるからまだセーフ!
ですね! 笑顔が一番ですとも!

>例のパーティー
なんの事かと思ったら30周年を迎える某シリーズの5作目ですか!w
べ、別に意識したワケじゃないんだからね!w

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星七号
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