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Side:Shadow 30「誰かのために」


Strong Stars Story
  Side:Shadow
   30「誰かのために」

一角竜の角を採取すると、アイリは杖を振るい、
奇跡の光によって角を失った竜の傷を癒した。
傷だけでなく、失われた角も瞬く間に再生し、
一角竜は再び起き上がった。

「……痛かったよね?
 ごめんね」

アイリは真剣な表情で一角竜に謝罪した。
アルナも続けて「ごめんね」と謝り、
一角竜は自分に起きた奇跡に驚きつつも、再び暴れまわる事もなく、
静かにその場から去っていった。

「……じゃ、帰ろ!
 早くママの薬、作ってもらわないと!」

アイリに急かされながら、ジェメリー家の屋敷へと帰っていった。





俺達が持ち帰った薬の原料によって特効薬が作られ、
数日のうちにジェメリー夫人の容体は快復していった。

「テンジ様、今回は本当にありがとうございました。
 こちらは、今回の報酬となります」

サブリナは俺に向かって深く頭を下げ、報酬を差し出した。

「……いや、俺は大した事をしていない。
 頑張ったのはアルナとアイリ……そしてアルナに魔力を分け与えたサブリナだ。
 その報酬は受け取れない」

これは謙遜ではなく、俺の本心だった。
俺1人でも一角竜の角以外ならばどうにかなったかもしれない。
……だが、肝心の一角竜の角に関しては、
アルナとアイリ、サブリナがいたからこそ得られたのだ。

「それはちがうよ」

声を聞き振り返ると、そこにはアルナとアイリの姿があった。

「わたしたちが頑張れたのは、テンジさんとサブリナさんがいてくれたからです」
「そうそう。
 2人があたしたちのためにガンバってくれたから、
 あたしたちもガンバらなきゃ!って思えたんだよね」

アルナとアイリはにこやかな笑顔を見せた。

「お金はあって困るものじゃないでしょ?
 お兄ちゃん、いつもお腹すかせてそうだし」

そう言って笑うアイリに、俺は
「……お兄ちゃん……?」
と問いかけた。

「そ。
 いつまでも『おじさん』じゃ、かわいそうだからね。
 ……おじさんって呼ぶにはまだ若そうだし」

ちょっと照れたようにアイリは笑っていた。

「それに……テンジお兄ちゃんは、わたしたちのお兄ちゃん……
 ルファクお兄ちゃんと、どこか似てるんです。
 ……だから、お兄ちゃんって呼んじゃ……ダメ、ですか……?」

アルナもまた、照れくさそうに微笑んでいた。

……『お兄ちゃん』……か……

「……お前達の好きなように呼べば良い。
 呼び方なんてものは、他人が決めるものだからな」

俺の言葉を聞くと、アルナとアイリは嬉しそうに見つめあった。

「はいっ!」
「うんっ!」
「「お兄ちゃんっ!!」」

その眩しい笑顔に、俺は思わず言葉を失い、微笑んでいた。

はじめは常に怯えながら、周囲に流されてばかりだったアルナ。
自分勝手にワガママばかりを言っていたアイリ。
その2人が、大切な誰かのために自分自身が出来る事を行い、
そしてあの一角竜に勝利した。

確かに、アルナとアイリは元々凄まじい才能を秘めていたのだろう。
だが、今回『大切な誰かのために一歩踏み出した事』で、
アルナとアイリはさらなる強さを手に入れたのだ。

荷物の中に潜ませているスターオーブの白い輝きが、
あれからさらに強いものへと変化した事からも、それは間違いないだろう。

「……ところで、
 その『ルファクお兄ちゃん』というのはどういった男なんだ?
 前に行ったあの別荘……?は、その男と関係があるのか?」

「うん、まぁね。
 その辺はまた今度話すからさ……」
「今は、いっしょにご飯食べませんか?」

アルナとアイリにそう言われると、俺は自分自身が空腹である事を思い出した。
すると俺の腹の虫が鳴き、アルナとアイリ、サブリナは無邪気に笑みを浮かべる。

「すぐに支度しますねっ」

「サブリナさん、今日のデザートは……」
「サブリナ、今日のデザートは……」

同時にデザートの要望を伝えたアルナとアイリは、驚きながら、向かい合っていた。

「イチゴのひとくちケーキが良いな……?」
「ピーチケーキが良いな……!」

それぞれ異なる主張に、アルナとアイリは
一瞬無言のにらみ合いをしていたが、

「大丈夫ですよ、どちらも用意しますから」

サブリナの穏やかな言葉に、
アルナとアイリは互いににっこりと笑っていた。





その後、俺はデイブレイクに戻ったが、
アルゴルはまだ検査入院から戻ってきていないようだった。
俺には経験がないが、検査入院とはこんなに長くかかるものなのだろうか……?

もしや、重い何かが見つかったのだろうか……?

サビクの話……
アルナとアイリの話……
そして仮面の男……「断罪の凶星」の話……

アルゴルに話したい事は、色々とあるのだがな……





首都にある病院の一室で、アルゴルは自らの掌を見つめていた。

「早く、帰りたいな……」

そう静かに呟きながら、アルゴルは病室の天井を見上げた。

「帰ったらその時は……フフッ」



(星七号の独り言)
アルナ&アイリ編、完結です。
途中なかなか更新出来てない時期もありましたが、
なんとかアルナ&アイリ編が終わりました。

今回は本家とも初期構想とも展開を変えていますが、
どちらかと言えば初期構想寄り…かな?
アルナとアイリのバトルシーンがやれてよかった。
本当に、それがやりたかったのでw


~「一角竜」について~
具体的にROのゲーム内に登場するボスを使用すると、数値的な面がちらつき、
かつRO未プレイユーザーには100%凄さが伝わるのか不安がある。
そんな事を考慮して、異名的な名前のオリジナルボスとして登場させました。

ユニコーン的な角を持つドラゴン。
その角は価値があり、薬の材料にも使われるが、
非常に気性が荒いモンスターで他者を近付けない…と
ファンタジーの「ユニコーン像」と「ドラゴン像」を足したつもりです。


~「サブリナ」について~
S.S.S.初期構想の頃から設定はあった
ジェメリー家のメイドさんがようやく世に出せました。

イメージ的にはDQ5のパパスとか、旅に同行する「頼れるNPC」枠で、
パーティーメンバー(テンジ、アルナ、アイリ)に足りない部分を
やってくれる便利なキャラにしちゃおうかと。

最終的に活躍するのはアルナ&アイリになるので、
そこに力を分け与える能力持ち。
それだけじゃ戦えないので、自分自身も「力をコントロールする魔法」で戦う。
やってる事は「気を使って戦う武術の達人キャラ」のそれなんですが、
魔法都市が舞台なので、そういう魔法にしました。

彼女がどこでそんな技術を身に付けたのかは描きたいような、
謎のままでも良いような、そんな感じです。


~「アルナ」と「アイリ」について~
本編ではSide:アルナ&アイリにバトルというバトルがなかったので、
とりあえずバトルさせよう、とw
しかも強キャラ感出してやろう、とw

元々考えていた
アルナの記憶力、攻撃模倣、読書で培った想像力からの創造力(魔法の形状変化)。
アイリの機転の良さと、運動神経が良くて、回復能力持ち。
これらの設定を使いつつ、双子らしい連携プレイ。

…という感じで、やりたい事はわかってもらえましたでしょうかw

ROをやってない人にも読めるようにしたいという都合から、
アルナは今回わかりやすい魔法使い像=ウィザード系を想定しています。
(本家でもかなり悩んだ奴)

アイリは本家と変わらずプリースト系ですが、「奇跡」と言ってもあまり伝わらないし、
だからと言って「回復魔法」とも言い難く、表現面で苦労しました。
でも、魔法都市なので「魔法」で良いんじゃ?という気持ちは多少あり、
そのうち「魔法」になってるかもしれない。
その時は…その時という事で…!


今回、アルナ&アイリ編のネタを整理する際には
よくサクラ大戦3の「いっしょに歩こう」を聞いてました。
これはコクリコというキャラクターの歌です。

コクリコとアルナアイリは幼いという共通点はあれど、
そこまで似た印象はなかったんですが、
この歌に関してはアルナアイリでやりたいのは
こういう事なのかな、と整理させてもらえました。
詳細は触れないので、気になった方は是非聞いてみてくださいw

現時点でも充分凄い力を秘めた彼女らですが、
今後もあっと驚くような事をさせていきたいですね。


~「今後」について~
アルナアイリ編のEXをまずやりたいですが、
その後は本家で言うところのFinal Episodeではなく、
ちょっと本家とは違う流れにしてみようかと思ってます。
そちらはまた色々整理してからの展開となりますので少々お待ちください。

あー、あとアニメの水着回みたいな息抜き話も書きたい。
むしろ本家の時もネタだけは考えた記憶があるよ、水着回。
全4話という縛りがあったのと、立ち絵の関係でやめたけど。

誕生日に何も出せなかったキャラ中心の話も書きたいなぁ…

書きたいと思う事は自由なハズ。
全部書くとは言っていない…!

とりあえず次回Side:Shadowは
アルナアイリ編のEX話になるんじゃないかと思います。
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星七号
職業:
ゲーム作ったり話書いたりする人