当ブログのSSは個人的に作成した非公式なものです。それを踏まえてご覧いただけると嬉しいです。 忍者ブログ

あくまで非公式です

ラグナロクオンラインのクエスト「Strong Stars Story」関連の非公式SSサイトです。はじめての方は「はじめに」をご覧ください。 ©Gravity Co., Ltd. & LeeMyoungJin(studio DTDS) All rights reserved. ©GungHo Online Entertainment, Inc. All Rights Reserved

Side:Shadow 6「弱点」


 Strong Stars Story
  Side:Shadow
   6「弱点」


俺とスピカはハイデルという男に案内され、ある倉庫を訪れていた。
ハイデルは騎士団に助けを求めるため倉庫の前で別れ、
倉庫の中には、俺とスピカ、そして積み荷の上に立つ、刃物を持った男だけが存在していた。

「ハイデルさんの研究材料を奪ったのはアナタかな?」

刃物を持った男は怪しく「シシシ……」と笑いながら、俺達を見下していた。

「シシシ……そうさ、その通り。
 これは俺達の作戦のためにもらった、いただいた」

「大人しく返してくれたら見逃せたんだけど……そうはいかないみたいだね」

スピカは構えた剣の布を取り払おうとしていた……がその瞬間。

「待った、させるかッ!」

そう言いながら男は足元にあったいくつかの球体をスピカに投げつけた。
すると、それぞれの球体から、無数の触手を持つモンスター「ヒドラ」が現れ、
スピカの腕や足へと次々に触手を絡ませていった。

「なっ……なにこれっ!?
 いやっ、気持ち悪い……!」

いきなりの事態に、スピカは慌てていた。

「シシシ……
 この研究材料というのは、ある南方に生息する特殊なヒドラ……変なヒドラだ!
 こいつらはよく訓練され、人を襲う事はないが、とにかくよく絡み付く!
 時間稼ぎにはバッチリ、もってこいだ!
 うねうね地獄を、思い知らせてやれぇ! シシシシシッ!」

男は自信満々にそう解説していた。

だがまぁ……スピカならば、この程度のモンスター、苦もなく振り払えるだろう。
そう俺は思っていたのだが……

「やめて……っ……放してっ……!」

スピカは涙目になりながら、そう訴えるだけで、
目の前の変なヒドラ達に為す術もなく、絡み付かれていた。

「……スピカ、大丈夫か……?」
「大丈夫じゃ……ない……かも……
 私、こういううねうねしたのは……苦手なの……っ……!」

スピカがこんなに弱々しい姿を見せるのは、正直とても意外だった。
何か苦手な理由でもあるのだろうか。
俺がそんな事を考えている間にも変なヒドラの触手はスピカの細い体に絡み付き、
スピカを苦しめていた。

「やめてってば……そ、そんなところに入らないで……っ!
 気持ち悪いからっ……!」

触手がスピカに絡む姿を前に、刃物を持った男は言葉を失い、
思わず見惚れているようだった。

「……たす……っ……たすけて……っ……!
 テンジ……っ……!」

スピカの瞳からは、涙が溢れていた。

「……やむを得ない、上手く当たるな!」

俺は鞘に納めたままの刀で変なヒドラに殴りかかった。
しかし、それは決定打には至らず、ヒドラ達は変わらず触手をスピカに絡ませていた。

「シシシシシッ!
 そいつらに攻撃は無駄! 無意味!
 なんとかしたかったらここにある、「ヒドラボール」で
 そいつらを捕獲、ゲットするしかないぜ!」
「……ほう、そこにあるのか」

俺は高く跳び上がり、積み荷の上に立つ男の目の前に着地した。

「……そのボールをよこせ」

俺の要求に男は「シシシ」と笑い、首を横に振った。

「駄目だ! 断る!
 ……って、へっ!?」

男が「断る」と言い終わる前に、俺は男を積み荷の上から叩き落としていた。

「使い方はわからんが……!」

男が床に間抜け面をぶつけている間に俺はヒドラボールを拾い上げ、
それをスピカに絡み付く変なヒドラ達に向かって放り投げた。

光と共に、変なヒドラ達はボールの中に捕獲されていった。
無事、自由を取り戻したスピカは、脱力し、床に座り込んでしまっていた。

「……大丈夫か、スピカ?」
「……もういや……
 べとべとするし、気持ち悪い……
 帰りたい……」

スピカはらしくない弱音を吐いていたが、一呼吸すると剣を持って、立ち上がった。

「……でも、もうこれで、アナタに勝ち目はないよね?
 お仕置きの覚悟は良いかな……?」

スピカは布を取り払い、十字の剣を構えた。
俺も積み荷から降り、鞘に入ったままの刀を構えた。

スピカの言う通り、男に勝ち目はない。
だが、男は何故か、笑っていた。

「シシシ……シシシシシ……
 任務は終わった……完了だぜ、ナガサーの旦那ァ……」
「任務って……どういう事……!?」

「わからないのか? 気付いてないのか?
 ……俺の任務は、時間稼ぎ。
 お前ら、邪魔な冒険者をトルシュ邸から離す事にある……」

ナガサー……トルシュ邸……
まさか……

「お前らの狙いはニコルか!?」
「正解、その通り……
 今頃ニコル坊っちゃんは俺達デリテリオのモノさ……」

「スピカさん、大丈夫ですかっ!?」

ハイデルが騎士達を連れて、スピカの傍へと駆けつけた。

「……私、急がないと……!」

俺は後処理を騎士達とハイデルに任せ、スピカと共に倉庫を後にした。





「スピカさん……テンジさん……ニコルが……っ……」

涙を流すトルシュを前に、俺とスピカは何が起きたのかを察した。

「私が……私があんな作戦に引っかからなかったら……ニコル君は……
 私が、あの時、ナガサーを騎士団に引き渡していたら……
 街に戻ってからも、ニコル君から目を放さなかったら……!」

自分を責め続け、スピカは後悔を続けていた。
その頬を、俺は親指と人差し指で摘まんだ。

「……後悔しても前には進めない。
 これから俺達がすべき事は、ニコルを助け出す事だ」

俺の言葉に、スピカは驚き、そして、小さく頷いた。

「……うん……
 ごめん、なさい……」



(星七号の独り言)
公式が病気、星七号です(一度言ってみたかった挨拶)。
うねうね。

ぶっちゃけてしまうとこの話は何か別の形にしてしまっても良かったのですが、
「S.S.S.(スピカ 触手 ストーリー)」としてはここを変えるのはイカンよな、とw
ただ書き直すのもつまらないので、刃物を持った男のキャラクターを変えたりはしつつも、
基本は本家S.S.S.に準ずる流れにしました。

本家でここを書いた時は、「なんで俺は職場でこんな文を書いてるんだろう」と
若干我に返りながら(ただし、誰に強制されたでもなく発案は自分自身)、
台詞回しをあーでもない、こーでもないと調整してましたw

このために触手の猛勉強をしたワケですが、活かされたのかは不明w
とりあえずしばらくは「触手はお腹いっぱい」状態にはなってました。

「50回様子を見る」に関しては、
「しばらくは気付かれないだろうな!」と思っていたのですが、
実装してすぐにもう気付いてる方がいてw
いやぁ…皆さん半端ないッスわぁ…と思わされましたw
100回、200回でも台詞変えるべきでしたね、反省。

テンジは「様子を見る」性格ではないため、そんな展開にはなりませんでしたが、
要望があるのなら、スピカ編完結後にでも何かしらの「おまけ」を書くかもしれません。
書かないかもしれません。
予定は未定です。

当時、自主規制として一部カットした台詞もありましたし……入れるかも。
入れないかも。
予定は未定です。

うねうね。
触手の人、星七号でした。
PR

コメント

1. 1回くらいは様子見ろよ!!!

 テンジ!! 貴様、それでも漢かぁ!!!?
というわけで、漢の意味をはき違えた変態がやってきました。
タイトルを見て「触手キタコレ!」とホイホイ釣られてしまいました、
この場を借りて懺悔します(もうしないとは限らない)

 スピカちゃんのほっぺたつまんでむにむにするのが私の夢です(ぇ)
デリテリオのメンバーは皆、笑い方が特徴的になってたりするのでしょうか?
ナガサーは元からキャラの立った笑い方してますけどね、ケケケ!

Re:1回くらいは様子見ろよ!!!

コメントありがとうございます!

>貴様、それでも漢かぁ!!!?
ほら、Extra Episode狙いなんですよ、彼。
あとは連載やTV放映では曖昧にしておいて、コミックスやDVDではオマケ収録されるパターン!

>懺悔します(もうしないとは限らない)
スピカ「懺悔するなら今のうちだよ!
  ……許さないけどね!」

>デリテリオのメンバーは皆、笑い方が特徴的になってたりするのでしょうか?
>ナガサーは元からキャラの立った笑い方してますけどね、ケケケ!

実はナガサーのケケケ笑いも当時スタッフ感では異論がありました。
もっと普通な笑い方じゃダメ?とw
一度は「ヘヘヘ」とかにもしてみたんですが、
やっぱり、下品で特徴的な笑い方をさせたいんだァ!とケケケにさせてもらったんですよねー。

今回は同じ理由で、下品で特徴的な笑い方をしてもらいました。
他にも変なのがいるかもしれませんね。

2. 一体過去にどんな場面でうねうね地獄に遭う機会があったというのだスピカよ…

 うねうねがダメってことは、過去に同じような経験をしたことがあるということで。
 施設でうねうね耐久調査とかあったんだろうか…。

 しかしながら、ここは御進言申し上げねばなるまい…!!!
 うねうねされてるスピカの様子を、何故もっと詳細に! 時間をかけてッ!! 描写されないのかッ!!!!!
 そこはもっと字数を掛けて事細かに記述すべきでしょう!!!!!!!




 ……ハイ、真の変態はここにいますよ。


 シシシおにーさn(ry

Re:一体過去にどんな場面でうねうね地獄に遭う機会があったというのだスピカよ…

コメントありがとうございます!

何があったのかという設定は一応答えを用意していますが、あえて「これだ」とは明かさないつもりです。
妄想の余地は残したいのでw

>うねうねされてるスピカの様子を、何故もっと詳細に! 時間をかけてッ!! 描写されないのかッ!!!!!
健全サイトとしては、やりすぎてブログ停止されるのは避けたいですw
多少の自重といいますかw

まぁ、ファイさんへの返信にも書きましたが、
連載やTV放映では曖昧にしておいて、コミックスやDVDではオマケ収録されるパターンという事でw

しかし、れの字先生のSide:Shadow初コメントがコレという事は、それだけ強く言いたい事だったのでしょう…
受け止めておきますw

本当は、本当は、俺は触手とかマジでどうでも良いんだけど、
みんなが望むならうねうね増量版書いちゃおうかなぁー…(わざとらしい)

3. ここで謝っておかねばなるまいて…

 すみません。本心を言うならば、どちらかというと突っ込みたかったのは『シシシおにーさん(?)』でした(笑)

 だってスピカと触手はもう表裏一体のようなものですからね(?

Re:ここで謝っておかねばなるまいて…

コメントありがとうございます!
いえいえ、まったくお気になさらずに!

>シシシおにーさん(?)
実際にシシシと笑うのは中々大変ですよね(そこじゃない)w

>スピカと触手はもう表裏一体のようなもの
スピカ「どういう意味かな?(ニッコリ)」

どうでも良いですが昨日、職場で
「星七号さんが手を増やせば何とかなる!」
と言われた時に、
「触手でよければ」と答えそうになってやめたのはここだけの秘密です。

4. >> 「触手でよければ」

 さらっとそう切り返せば英雄になれましたのに…。

Re: >> 「触手でよければ」

「英雄ってのはさ、英雄になろうとした瞬間に失格なのよ(仮面ライダー龍騎より)」

英雄になれるかもしれませんが、間違いなく変なあだ名が付きますw

プロフィール

HN:
星七号
職業:
ゲーム作ったり話書いたりする人