青い髪の少女は、雨が降り続ける景色を窓から不機嫌そうに見ていた。
少女は雨が嫌いだった。
特別な理由があるワケではないし、雨が降らなければ降らないで、困る人がいる事も理解している。
しかし、それでもどうしても、なかなか晴れない景色を見ながら、少女はため息をついていた。
少女の名前はスピカ・パルフェイ。
アルベルタを中心に活動している冒険者だ。
スピカは今日、出かける約束をしていた。
髪型もいつもと雰囲気を変えて、買ったばかりの服を着て……と楽しい事ばかりを考えていたのに、外はこんなにも雨が降っている。
約束の時間まではまだまだ余裕があるが、それまでに雨は止むだろうか。
スピカは先程からそればかりを心配していた。
スピカが兄と慕っていた男性、サビクの傍を放れた日も急な雨に悩まされた記憶がある。
傘も持っていなかったため、びしょ濡れのまま雨宿りする事になってしまったし、そのせいもあってその後しばらく体調を崩してしまった。
サビクは未来へ再び歩み始めたのだし、いつまでも過去を引きずっていてはいけない……
そうは思うものの、スピカの中での雨の日の記憶といえば、真っ先に思い浮かぶのはその時の記憶だった。
「ニャー」
スピカと一緒に暮らしている猫、ヒメちゃんも、スピカの隣で雨の景色を見ていた。
「今日は雨みたい。外で遊べなくて残念だね、ヒメちゃん」
スピカが話しかけると、ヒメちゃんもどこか残念そうに奥の部屋へと向かっていった。
(……いつまでも気にしてても仕方ない。
晴れるように祈りながら、準備を済ませよう)
そんな事を考えていた時、窓の外の景色にあるものを見つけたスピカは、慌てて傘と乾いたタオルを手に部屋を飛び出した。
スピカが見つけたのは、木の下で雨宿りしている少年の姿だった。
雨宿りと言っても木陰では完全に雨を凌げず、あちこちが濡れてしまっていた。
「こんにちは。
この辺りの子じゃないよね?
もしかして、傘持ってないのかな?」
スピカは少年に話しかけた。
「傘、持ってたんだけど……なくなっちゃって……
もう、行かなきゃダメなのに……」
今にも泣き出しそうな少年をタオルで拭いてあげながら、スピカは自分の傘を差し出した。
「この傘、よかったら使って。
私の家、すぐそこだから」
スピカにそう言われた少年は驚きながらも、嬉しそうに傘を受け取った。
笑顔になった少年を見送った後、スピカは再び我が家に戻った。
部屋に戻ったスピカは雨で濡れた髪を乾かし、髪型を整え、新しく買った服を着て、鏡に向かって微笑んだ。
準備を済ませたスピカは別の傘を持ち、部屋を出ると……雨はいつの間にか止んでいた。
いつの間に止んだのだろう。
あの少年は、今頃荷物になってしまった傘をどうしているだろうか。
そんな事を考えながら、スピカは空を見上げた。
曇の隙間から、美しい光が射し込んでいた。
スピカは雨が嫌いだった。
だが、雨上がりの空や空気は好きだった。
特別な理由があるワケではない。
理由などなくても、好きなものは好きなのだ。
涙は止まるし、雨は止む。
止まない雨はないと、誰かが言っていたけど、誰が言い出したのかな?
スピカはそんなどうでも良い事を気にしながら、待ち合わせ場所へ向かって歩き出した。
(後書き)
このSSは去年の5月にスピカの誕生祝いであると同時に、いつかS.S.S.を好きでいてくれる方々に感謝を伝えられたら、という気持ちで書いたものです。
(以降誕生日合わせでSSを書き始めた理由もそれです)
ずいぶん久しぶりにしっかりと書いたスピカでした。
ぶっちゃけ、オチもなければ山場もないお話で、雰囲気だけの話と馬鹿にされるかもしれないし、その雰囲気すらダメだと感じる人もいるかもしれない。
「夜明け前の空の下で」はSide:サビクの前にあたるサビクの状況を「夜明け前」という形でを描いたのに対し、
このSSは、Final Episode後のスピカの状況を「雨上がり」という形で描いたつもりです。
スピカの密かな乙女チック部分とか、抱えてる些細なトラウマとか、日常的に人助けをしているのは相変わらずとか、そういう部分をお楽しみいただけたら幸いです。
スピカが会う約束をしている相手はプレイヤーキャラクターのつもりでいますが、サビクやアルゴル、ルファク、アルナアイリ、擬人化変なヒドラなど、好きな相手で読んでいただければと思います。
髪型に関しては昔、ROSNSで書きましたが、自分の初期案ではスピカの髪型はポニテじゃなくツーサイドアップだったので、そのイメージで書きました。
年頃の女の子なので、髪型ぐらい気分で変わってても不自然じゃないんじゃないかな、と。
もちろん基本はポニテですけどね。
しかし、今回はスピカ目線なんですが、自分自身、乙女心というものをさっっっぱり理解できている気がしないので、見た人が気持ち悪く感じないか不安ですw
星座は乙女座なんですけどねーw
今回からはちょっぴり各キャラクター自体についても振り返らせていただきます。
スピカの誕生日、5/11の誕生花にはスピカが大好きな「イチゴ」もあるんですが、設定的には「矢車草」という事にしています。
矢車草の花言葉は「繊細」「優雅」。
スピカの中にはそういうイメージが強くあったのと、Side:スピカは4つのエピソードの最初の話だったため、スピカを春に当てはめ、季節的に春の誕生日にしています。
キャラ立ちに関してはそのキャラを象徴する台詞を何度か言わせる事で遊んでいる方に印象付ける方法を取っています。
「一度走り出したら立ち止まるな」と「私はスピカ・パルフェイ。一応、冒険者っていう事になってるのかな?」がその部分です。
その一方でキャラ立ちしすぎてただの変な人にはしたくはなかったので、口調とかは知り合いの女性の喋り口調や癖を参考にしました。
なのでスピカは「~わ」「~よ」「~よね」という言い回しをしないんです。
ここはヒーローとしても成り立つ存在という事で、記号的な女性らしさを削った部分であり、同時に過去のクエストの女性キャラとの差別化も考えてた気がします。
女性らしさを削った話で言えば、スピカはlalaさんに何度か胸を減量していただいてるんですよねw
最初はそれなりに目立ってたんですが、スレンダーな体型の方がヒーロー向きだろう、と。
そういう事もあって自分の中では
アルナ>>スピカ>アイリかもしれない。
あっ、スピカさんやめて剣向けないで……!
ごめんなさい、俺が、俺が悪かっ……!
ちなみにスピカの下着についても俺脳内設定があるのですが、別に変態だから考えたんじゃないよ!
もしかしたら立体化とかする機会があれば、役立つんじゃないかなって!
しまぱ……(星七号気絶につき中断)
