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Side:Shadow 20「そしてまた、この街で」


Strong Stars Story
  Side:Shadow
   20「そしてまた、この街で」

目を覚ますとそこは、見慣れたフォルトゥナの店内だった。

「……ってェ……」

頭が痛む。
俺は何故、ここにいるんだ……?
たしか、俺は……

「レナ……ッ!?」

俺は慌てて立ち上がり、周囲を見渡した。
目の前にはレオンに、店長……
そして、“何故か酷く怪我をしている”テンジの姿しかなかった。

「……目が覚めたか」

テンジは、俺を見てそう言った。

「レナ……レナはどこだ……ッ!?」

見渡しても、レナの姿はどこにも見当たらない。

「……レナ……」

俺がそう呟いた時、店に誰かが入ってきたようだった。

「……あら、サビク。
 遅いお目覚めね?」

俺が振り返るとそこには、いつもと変わらぬレナの姿があった。

「色々と騎士団に報告してきたから、後の事は任せましょう」

レナは、何食わぬ顔で微笑んでいた。
その笑顔に、俺は、強い安心感を覚えた。





あの時、スターオーブが俺に見せたイメージは、
「断罪の凶星」と名乗ったあの仮面の男が、アジトからレナを助け出す姿だった。

スターオーブの反応から考えるに、
あの男もまた「強き者」の1人なのだろうか。

何故あの男があのアジトにいたのか、
どんな経緯でレナを助け出したのかはわからないが……

俺達は、全員無事だ。
この現実が、何よりも俺は嬉しく思えた

「……だから、金髪のイケメンが私を助けてくれたんだってば。
 仮面で顔はわからないけど、たぶんイケメン」

そんな事を考えている間に、レナはサビクに脱出の経緯を説明していたようだった。

「……まぁ……無事なら、それで良いけどよ……」

サビクは、何となく不満そうに、目を背けていた。

「姉さん!
 その人がどれだけイケメンだったのか知らないけど、
 姉さんを助けに行った時のサビクさんだって、
 すっっっっっごく、格好良かったんだからねっ!!」

レオンは、ムキになりながらレナにサビクの格好良さを力説しようとしていた。
しかし、レナは……

「うん、わかってる。
 ありがとう、サビク」

優しい笑顔で、サビクに礼を言っていた。

「……お、おうよ……」

サビクはしばらく黙り込み、ふと思い付いたかのように俺の名を呼んだ。

「……そうだ、テンジ。
 煙草買いに行くからよ、ちょっと付き合え!」

サビクの急な発言に、レオンも

「それならボクも行きますよ!」

と手を上げながら主張したが、サビクは

「レオン、お前は疲れてるだろ、休んどけ」

と制止し、
俺は、何故かサビクの買い物に付き合わされる事になってしまった。





サビクは、いつもの木の下で、煙草をくわえながら、
茜色に染まる空を見上げていた。

「……昔……“弟”を見殺しにしちまった馬鹿な男がいた。
 そいつは、弟が抱えていた悩みを、隠していた闇を、わかってやれなくて……
 結果、弟が死ぬ原因を作ったのも、そいつだった」

サビクはそう言いながら、そっと左頬の傷に触れた。

「……そいつはその後、全てに深く絶望し、未来を諦めた。
 弟がいなくなった現実を受け入れきれず……
 ただ、ただ、現実から逃げ続けた。
 “自分ではない誰か”を演じ、堕落を続け、自分を、周囲を欺く日々を送った。

 でも、それじゃやっぱ、ダメなんだな。
 絶望に浸っていても、生きていれば大切なものが生まれちまうし、
 何もしなければ、大切なものをまた、失う事になりかねない……
 馬鹿だよな、そんな当たり前の事すら、わかろうとしなかったんだから」

サビクは、まっすぐな瞳で俺を見つめた。

「……効いたぜ、お前のパンチ。
 それと、あの時の言葉は……

 テンジ、約束通り1つ教えてくれ」

「……なんだ?」

「……『一度走り出したら立ち止まるな。最後まで走り続けろ!』……
 そう言ったヤツは……」

そこまで口にして、サビクは話すのをやめた。
だが、一息ついて、再び口を開いた。

「そう言ったヤツは……今、元気にしてるのか?」

「あぁ……今も人助けに奔走しているだろう」

俺がそう答えると、サビクはとても優しげな笑みを浮かべた。

「……そうか、良かった」

そう話した後、サビクは俺に背を向けた。

「今回の一件で良くわかったよ。
 大切なものを守るためには……戦わなきゃならない時があるんだって。

 今回、最終的にレナを助けたのは俺じゃねェ。
 だからなおさら……俺は、俺の力で、レナを、レオンを、
 しっかり守れる男になりたい……ならなきゃいけないんだ。

 そのためにも、もう一度走り出さないとな。
 未来へ向かって」

そうサビクが語った時には、スターオーブの赤い輝きは、
さらに強いものへと変化していた。

スピカの時同様、サビクもまた、困難を乗り越え、
さらなる強さを手に入れたという事なのだろうか。

俺がそんな事を考えている間に、サビクは少し離れたところへと歩いてしまっていた。

「おい、何やってんだ、テンジ。
 モタモタしてると置いてくぜ!」

俺はスターオーブをしまい、サビクに急ぎ、駆け寄った。

「……サビク、俺を殴らないのか?
 アジトの時の分と、合わせて2発だ」

俺の問いに対し、サビクは「馬ァ鹿」と言いながら
無邪気な笑みを浮かべていた。


「つーかお前、なんでそんなボロボロなんだよ?
 あいつらの戦いでは無傷だったろ?」

「……“狼”に噛まれたようなものだ」

「なんだそりゃ……?」





「……店長、レナ、レオン……
 色々迷惑をかけたが……俺を、もう一度この店で雇ってほしい」

サビクはフォルトゥナで、そう言いながら深々と頭を下げていた。

「どうする、店長?」

レナは、機嫌が良さそうに笑っていた。

「……サビク、1つ言っておきたい事がある」

無口な店長が、サビクに話しかけた。

「……レナとの結婚式に関しては、俺の要望も聞いてもらうぞ」

「ハァ!? なんだそりゃ!?」
「そうよ、叔父さん!!
 今はそんな話なんて……っ!!」

顔を赤くしながら慌て、怒るサビクとレナ。

「“今は”という事は、いずれあり得るという事だろう?
 レナの晴れ姿……早く見たいものだ……」

店長はにこやかに笑みを浮かべていた。
俺がこの街に来てから、一番良い表情だった。

「だァッ! だから、そういう話はしてねェって!!」

そんな光景を見ながら、一番嬉しそうに笑っているのはレオンだった。
サビクがまた、フォルトゥナに帰って来た。
サビクを強く、信じていたレオンだからこそ、特に嬉しいのだろう。

「……あぁ、そうだ、レオン 」
「なんですか、サビクさん?」

「明日から剣の稽古、つけてやる。
 ブラック兄弟のアジトで見たが、お前の剣は無茶苦茶だ、
 ガキの遊びにしても酷ェ」

レオンは目を丸くしながら、サビクを見つめていた。

「サビクさん、今なんて……?」

「だァから……剣の稽古、つけてやるって言ったんだよ!
 ビシビシ鍛えてやるから、覚悟しとけよ!」

照れながら怒るサビクに、レオンは涙を流して喜びながら、抱きついた。

「だッ、抱きつくなァ!
 男に抱きつかれる趣味はねェ!!」
「やはり、抱かれるならレナがいいと……」
「そんな話はしてねェだろ、店長ォ!!」
「そういえば、サビクさん、嘘つきなんですよね?
 姉さんの事、どう思ってるんですか!?」
「だッ、レオン! 余計な事言うと稽古やめるぞ!」

その日のフォルトゥナには、笑顔が溢れていた。
あんな事があったばかりだというのに、本当に強い奴らだ。

サビクは、この笑顔を守るために、もう一度走り出すのだろう。
過去を乗り越えて、もう一度、未来へ向かって。





俺がデイブレイクへと戻ると、奥の部屋にアルゴルの姿はなかった。
ランドルフの話によると、検査を受けるためにしばらく入院しているのだそうだ。

サビクの事や、あの時見えた、断罪の凶星のイメージについてなど、
話したい事は色々あったのだが、いないのならば仕方ない。

俺は、荷物を整理して、ランドルフに声をかけた。

「何か手伝える事はないか?」

そんな俺を見て、ランドルフは
「なかなか冒険者らしくなってきたね」と嬉しそうに笑っていた。



(星七号の独り言)
サビク編、完結です。
やや、駆け足な部分もありましたが、いかがでしたでしょうか。

初期構想の流れを思い出しつつ、
本家と差別化するよう調整を加え、
Side:Shadowとしての今後の展開を意識しながら、
より面白く、より熱くなるように……と組み立てたつもりでいます。

スピカ編は概ね本家と同じ流れにまとまったので、
サビク編は新鮮な気持ちで読んでいただければと色々変えてみました。


~「レナ」について~
本家S.S.S.のレテーナはあくまで「レオンの姉」で、
そこまでメインのキャラクターとして考えてはいませんでした。

しかし、出来上がった後の反応を見てみると、
レテーナはSide:サビクのメインキャラとして認識されるようになっており、
いつの間にかサビク、レオン、レテーナで「モロクの3人組」になっていました。

Side:Shadowはテンジという男主人公で固定なのもあり、
最初から「レオンの姉をサビク編のヒロイン」として構成しています。

一方、S.S.S.は信頼度システムがあるコンテンツなので、
「レテーナとサビクの関係はどうとでも取れる微妙な関係」であるべき
というポリシーで今までやってきました。

そういった関係から、レオンの姉だけど本家と同じレテーナではない、
だけど極めて近い、パラレルな存在の人物「レナ」が誕生しました。

そして、レテーナではなく「レナ」なので、作品の中で必ず同じ結末になるとは限らない。
レナはサビク編で、死ぬ可能性も秘めていました。

「レテーナは死なないだろう」
普通はそう思うじゃないですか。

でも、「レナ」なら死ぬかもしれない。
そんな気持ちも込めています。

レナの名前の由来は、
ラテン語が語源の「レナトゥス」という、生まれ変わる、再生するを意味する言葉です。
これは、サビク編のストーリー展開的にピッタリだと思っています。

実はS.S.S.初期構想版のレオンの姉は「ビアンカ」だったので、
ビアンカ→(レテーナ→)レナ
と最初と最後がSFCで発売された大作RPG5作目の主要女性キャラの名前と
一致していますが、偶然です。


~「フォルトゥナ」について~
Side:Shadowでは酒場に名前があった方がやりやすいな、と
思い何日も寝る前に考えてました。

「デイブレイク」は「夜明け」。
星の絆の物語らしい名前だと思っていますが、
砂漠の街の酒場は必ずしも同じコンセプトである必要はないかな、
と別路線で考え始めました。

しかし、なかなか決まらない決まらないw
れーりん先生の小説からパクろうか
(EveningStar)とも思いましたが、
そこは流石に自重してw

ラテン語で「幸運」を意味するフォルトゥナ、
フォルトゥーナはローマ神話の「運命の女神」でタロットの「運命の輪」のモデルらしい、
運命の輪のカードが持つ意味は、転換点、変化など…サビク編に当てはまる。

そして、「デイブレイク」と名付けた時は某バンドのある曲を意識していた事をふと思い出し、
同バンドの某曲の歌詞で「運命」という単語が印象的なのもあって、
もう「フォルトゥナ」かな、とw

裏設定的にはレナ、レオンの父が元々やっていた店なので、
訪れる客や、子供達の未来が「幸運」に溢れたものであるよう
願いを込めた名前という事にしてあります。


~「ブラック兄弟」について~
以前書いたサビクやレテーナの話から再利用しました。

サビクによって痛い目を見せられ、サビクに報復するために力を蓄えていた時期に、
デリテリオの面々と出会い、その傘下に入る事で
例の水薬(レヴォルポーション)の提供など、様々な協力を得たという設定。


~「アーシア」について~
本家S.S.S.におけるカーリンの代わりに用意したキャラクターであり、
今回の話では裏で手を引いていた人物。
コンセプトは、ひたすらウザい感じ。
能力はそれなりですが、動きがパターン化していたり、
頭の方はやっぱりデリテリオクオリティ。

ブラック兄弟の動きを監視しつつ、クラークの指パッチンに合わせて魔法を使う役割。
ただしこれはナガ様(いったい何者なんだ!?)に言われたからやってるだけで、
ブラック兄弟やクラークに思い入れはない模様。

戦いの中でサビクに惚れるという案もありました。
また出るかもしれません。


~「レオン」について~
レナがヒロイン化した事で、レオンの持っていた役割の一部がレナに受け継がれたため、
ちょっと扱い悪くなっちゃったかな…と反省しています。

とはいえ、レオンはまだ「これから成長していく」キャラクターなので、
変に活躍されると…というのもあるにはありましたが、
もうちょっと見せ場は作るべきだったかな…


~「カミカゼ」について~
最初にサビクさんが頼んでいたカクテル。
ウォッカベースで度数が高く、テンジの持つ和的な雰囲気もありつつ、
「あなたを救う」というカクテル言葉を持つようなのでこれにしました。
サビクが救われる未来を暗示するための小道具でもあります。


~「サビク」について~
今回のサビクは初期構想サビク+本家サビクのような雰囲気になっています。

・序盤~中盤までは他人と目を合わせない
・辛い過去を思い出す時は頬の傷に触れる
・怒る時や動揺した時に「だッ!」「だァッ!」など、
 感情が先走って上手く言葉になってないそれを発する
この辺は癖として新たに取り入れました。

煙草は火をつけている箇所もありますが、
火をつけずにくわえてるだけのシーンが多いですね。

今回の結末は、サビクにとって
「ベストエンド」ではないのですが
(レナを自分で助けられなかった辺りとか)、
そこがかえって、サビクの今後の目標になるイメージにしてあります。


~「今後」について~
サビク編のEXも書く気でいますが、今後の展開の準備期間として
しばらくは、のんびりゆっくり予定でいます。
ご了承ください。
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コメント

1. なんという怒涛の更新劇

 お疲れ様でぇすヾ(´∀`*)
 月曜を前にして(というか時間的には既に月曜でしたがw)ちょっぴり憂鬱☆な気分を緩和してもらいましたw ありがとうございますw

 "狼"さんは一体どういう役割を果たしたのかが気になります…w
 レナさんは断罪の凶星さんが助けてくれたようなので、となると……?


 こちらでお話するのもどうなのかと思いましたが…話題に挙げていただいたので、うちの店名について。
 ご本家がデイブレイク(夜明け)だったので日没系にしようかと思ったのですが、sunsetだと響き的に太陽のイメージの方が強かったので、宵(evening)そしてS.S.S.の象徴である星(start)の単語で構成されているEveningStar(宵の明星)を選びました。
 ちなみに、個人的にとても親しみのある単語でもある…というのも理由の一つでした。よく弾く曲の名前だったので^^;
 英字表記なのもそのためです。カタカナだとなんか格好がつかなかったからっていうのもありますw

Re:なんという怒涛の更新劇

コメントありがとうございます!

どうしようか悩みましたが、休みのうちに全部出しきっちゃいましたw
中途半端なところで止めるのもアレだったのでw
少しでも憂鬱☆を緩和出来たなら何よりですよ!

>"狼"
真相はもうしばらくお待ちくださいw

>EveningStar(宵の明星)
イブニングスターという花もあるようですね。

>よく弾く曲
どんな楽器でも演奏出来るのは素直に尊敬します。
実家がそういう意味では恵まれた環境だったのに、練習しなかったら全然ですし…
歌うのは大好きなんですけどね!

2. 更新頻度が上がっている… だと…!?

 テンジと”狼”さんとの関係も気になりますね。
狼さんカッコいいよ狼さん! 星月夜に狼はよく似合うと思います。
 一番楽しみだったのは、全力2発分の落とし前をどうつけるかでした(ぇ)
我ながらゲスかったと反省しておりますorz ごめんねテンジ、サビクさん。
 
> 金髪のイケメン
 救出活動中のルファクとのニアピンシーンはサビク編で出ましたか!
 これは双子編がどうなっているのかも楽しみですニヨニヨ
 イケメン連呼してるあたり、レナさんはもしかして面食いさん?

> ビアンカ、レナ
 てっきり狙ったものかと思ったら偶然でしたか…
 活発美人な年上の幼馴染も、いたわりの薄幸姫様も大好きです!
 大抵の女性キャラに鼻の下伸ばす私が言っても説得力が無い!

> アーシアちゃん
 ウザいと言うよりあざと可愛い合法ロリで脳内再生しました(自重せい)
 サビクさんに惚れる展開になったのを想像してみましたが、
 言動からしてどうしてもヤンデレ方面にしか進む気がしない…orz

> カミカゼ
 ………………(無言でマスターにグラスを差し出す)

Re:更新頻度が上がっている… だと…!?

コメントありがとうございます!
もうここまで来たら出しきっちゃおう!と3話続けて更新しましたw

>テンジと”狼”さん
星七号の好みが出ている部分ですw
真相…を語れるのは、いつになるやらですが、お付き合いいただけると嬉しいですw

>金髪のイケメン
サビク編ではサビクとご飯食べたり、
呼ばれてもいないのに横からお姫様助けたりでした。

>レナさんはもしかして面食いさん?
レナ「そりゃあ、人並みには、ね?」
サビク「……」
レオン「サビクさんだってイケメンですよ!」

>大抵の女性キャラに鼻の下伸ばす私
ファイさんが鼻の下を伸ばさない女性キャラを作るのはなかなか骨が折れそうです。

>カミカゼ
レナ「飲むのは良いけど、ほどほどにね!」

プロフィール

HN:
星七号
職業:
ゲーム作ったり話書いたりする人