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Side:Shadow 33「地下水路の先に」

Strong Stars Story
  Side:Shadow
   33「地下水路の先に」

俺達の目の前にはどこかで見た奴ら……ナガサーとアーシアの姿があった。

2人を前に、最初に動き出したのはゴルドだった。

「……ッ!!」

ゴルドはナガサーを目掛けて連続射撃を行った。
……その弾丸は全てナガサーの頭部を撃ち抜いていたが、
何故かナガサーは何食わぬ顔で下卑た笑みを浮かべていた。

「ケケケッ、折角だから種明かししてやるゼ~?
 オマエが攻撃したオレ……
 ちなみにこのアーシアも、魔法で作られた“幻”なんだゼ。
 どんだけ攻撃しようが、傷一つつかねぇ、
 無駄で無意味で無残で無念……意味はわからねェが、そういう事だゼ~?」
「プププププ~♪
 残念で~した~♪」

こちらを嘲笑うかのように笑みを浮かべるナガサーとアーシア。
そのような挑発を受け、ゴルドの怒りはまさに爆発寸前だった。

「……ゴルド、安い挑発に乗るな。
 ここは敵地だ」

フリードはそう言ってゴルドを制止しようとしたが、
ゴルドの怒りがおさまる事はなかった。

「関係ない。
 全て、散ってもらうのみだッ……!」

ゴルドはそう言って、地下水路の奥へと続く道を先行した。

「ったく……若いってのは羨ましいぜ。
 ゴルドを追うぞ……!」

俺達もまた、ゴルドを追うように、地下水路を進んでいった。





スターオーブの反応を頼りに地下水路を進んでいくと、
俺達は破壊されている壁を発見した。
破壊された壁の先には不思議な機械が配置された施設が広がっていた。

「……恐らくは、ここがデリテリオの拠点の1つだろう」

フリードは冷静な口調でそう話した。

「一体ここは何を行っている施設なんだ……?」

俺はそう尋ねたが、その答えを知る者はいないようだ。

「……詳しい事はわからんが、何だか嫌な気配がするな……」

フリードは静かにそう言った。

「……同感だ。
 警戒しながら進む必要がある……」

俺達は警戒しつつ、施設の中を進んだ。
不気味な施設を進んでいくと、
床の上で声も上げずに苦しんでいるゴルドの姿があった。

だが、不自然な事に、目の前のゴルドにスターオーブは反応していないようだが……

「ゴルド……ッ!?」

俺がスターオーブを確認している間に、フリードは慌てて目の前のゴルドに駆け寄っていた。

すると……苦しんでいたゴルドの姿は消え去り、
ゴルドがいたハズの箇所に現れた不気味な砲台が、フリードの左肩を撃ち抜いた。

「ぐあああァァァッ!?」

恐らく、今俺達の前に現れたゴルドの姿は先程のナガサーと同じ幻……
奴らによって仕掛けられた、狡猾な罠だったのだろう。

同行していた騎士達は慌ててフリードに駆け寄り、
一方で俺は、力任せに不気味な砲台を破壊した。

「……ヘッ……聖騎士フリードが……
 まさかこんな罠にかかっちまうとはな……」

フリードはそう言いながら、自嘲の笑みを浮かべた。

「……無理をするな。
 騎士達はフリードを連れて引き返してくれ。
 ゴルドは必ず俺が連れ帰る」

俺はスターオーブでゴルドの位置を確かめられる。
いざとなればサビクの時のように全力で気絶させれば、
俺も負傷するだろうが、あの偏屈男でも連れ帰れるだろう。

しかし、フリードは首を小さく横に振った。

「聖騎士フリードをなめてもっちゃ困るぜ……
 俺はな、どれだけ傷つこうが、作戦は必ず遂行する……
 そうやって聖騎士の地位まで上ってきたんだぜ……?」

騎士達はフリードの傷を応急手当てし、フリードは何食わぬ顔で槍を構えた。

「それに今回は、同時制圧しなきゃ意味がないんでな……
 この程度の傷で退いてたまるか。
 ゴルドを探して、作戦を遂行するぞ」

聖騎士としての意地と誇りを見せながら、強気に振る舞うフリードに対し、俺は静かに

「……だが、無理はしないでくれ。
 意地や誇りのために、死んで欲しくはない」

とだけ伝えた。

「ああ、こんな所で死んでたまるか。
 俺の死に場所は美人の胸の中と決めてるからな」

そう言いながら、フリードは小さく笑みを浮かべた。





俺達が施設を進んで行くと、激しい戦闘音が聞こえてきた。
発砲音、スターオーブの反応……どちらで考えても、
この先にゴルドがいると考えて間違いないだろう。

フリードの様子に気を配りつつ、俺達は急いでゴルドの傍へと急行した。



(星七号の独り言)
ルファク=あの偏屈男。

ルファク編に女性キャラが
アーシア(あまり目立たない)、ディアナ(台詞すらない)しかいない事に
今更気付いた星七号です。
書いてて気が楽だったのはそれでかw

フリードみたいなおっさんは最近仕事で書く機会がないのもあってか、
書いていて楽しいです。
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星七号
職業:
ゲーム作ったり話書いたりする人