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Side:Shadow 7「決意と結束」


Strong Stars Story
  Side:Shadow
   7「決意と結束」


トルシュ邸で俺とスピカ、そしてトルシュは
ニコル救出に向けて状況を確認していた。

「……すみません、お茶でも出せれば良いのですが、
 執事の行方も今はわからぬ状態で……」

トルシュは申し訳なさそうにそう言った。

「執事の人も、ニコル君と一緒に……?」
「……わかりません……
 無事でいてくれれば良いのですが……」

スピカとトルシュは互いにため息をついていた。
明るく笑っていられるような事態ではないし、無理もないだろう。

「……」

ニコルを連れ去った者が残した手紙に書かれていた内容は、実に単純なものだった。

お前の息子は預かっている。
返して欲しければ指定した時間に、身代金を持って指定した場所へ来い。
身代金を払わない、もしくは騎士団に連絡するような真似をしたら、息子の命はないと思え。

絵に描いたような、いかにもな脅迫状。
身代金として、俺ならば一生を費やしても使いきれないであろう額が要求されていた。

「……私はニコルのためならば、いくら払う事になろうとも惜しくはありません。
 私の全財産を投げ出す事になっても、ニコルを助けたい……!」

真剣な表情でトルシュはそう語った。

「……だが、身代金を用意したところで相手が約束を守るとは限らない。
 一度屈する人間は、必ず二度目、三度目がある。
 ……そう考えるのが『こういう連中』だ」

トルシュは言葉を失い、目を伏せた。

「……こういうのはどうかな。
 私がニコル君の代わりに人質になる……
 それなら、ニコル君は助け出せるし……
 こんな事になったのも……私に責任があるから……」

真剣な表情で提案するスピカだが、俺は首を横に振り、「駄目だ」と否定した。

「相手にお前を人質にする利点がない。
 ニコルは無力な上に、トルシュから身代金を引き出せる可能性が高い。
 それに対し、お前が戦える事は奴らも知っている上に、身代金を誰が払う?
 奴らならそう考えるだろう」

スピカも同じく、言葉を失った。
俺は多少自分の言葉が過ぎた事に気付き、スピカに謝罪した。

「……すまない、言い過ぎたな」
「……ううん、アナタが言う事は正しいと思う」
「……では、どうすれば……?」

沈黙する俺達の後ろから、聞き覚えのある声がした。

「……力を貸そうか?」

振り返るとそこには、ディアナと、スピカを慕うこの街の人々の姿があった。

「……悪いとは思ったが、玄関が開いてたんでね。
 話は聞かせてもらったよ」
「ディアナ……」

「スピカさん、私達にも協力させてください!」
「みんな……!」

スピカの瞳には涙が浮かんでいた。

「……何か良い案があるのか、ディアナ」
「アタシがナガサー……デリテリオを追ってるのはアンタも知ってるだろう?
 あの後、デリテリオのアジトと戦力を把握したんだが、
 奴らをぶっ潰すための力が足りないと思っていたのさ」

ディアナはまるで勝利を確信しているかのように、
落ち着いた笑みを浮かべたまま、アジトの見取り図を広げてみせた。

「……まず、このアジトには出入口が2つあるが、裏口には見張りが1人しかいない。
 そいつに関してはアタシも良く知った男でね。
 そこのお嬢ちゃんとワンちゃんが協力してくれたら問題ない」
「ミミィとインディ?」

ミミィという少女が不思議そうに首を傾げていた。

「大丈夫、危険はないよ。
 何があってもアタシが守る」
「わかった!
 がんばろうね、インディ!」
「ワンワン!」

ミミィとインディは共にやる気を見せた。

「アジトの奥の部屋……
 そこにニコル少年は捕まっている。
 誰かが奴らの隙を作り、その隙に誰かがニコル少年を連れ出す。
 これが出来れば問題ない」

「隙を作るのならば、私にお任せを。
 長年鍛えた奥義で必ず力になってみせましょう」
「私もお力になれると思います!」

ラザンとハイデルが名乗りをあげた。

「じゃあ、ニコル君は私が連れ出します!
 こう見えて、足は結構速いですから!」

キャシーという女が元気良くそう言った。

「アタシがその脱出をサポートする。
 後は、テンジとスピカ嬢が奴らをぶっ潰すだけさ」

ディアナがそう言い、話をまとめた。
確かに、一見上手く行きそうな話に聞こえる。
……だが……もしもディアナの情報に誤りがあったのなら、俺達は……

「ディアナ、お前を……お前の情報を信じて良いんだな?」

「信じるも信じないもアンタら次第さ。
 ただ、アタシは、アタシのためにナガサーを、デリテリオをぶっ潰したい」
「私達は、今日こそ恩人であるスピカさんの、力になりたいのです……!」

ディアナとラザンが、それぞれの考えを語った。

「……ありがとう。
 テンジ、私はみんなを信じるよ。
 みんなで、ニコル君を助け出したい……!」

スピカの瞳には、強い決意が感じられた。

「……わかった。
 やるからには失敗はない。
 何があっても、必ず成功させる……ッ!」



(星七号の独り言)
完全にSide:スピカの書き直しのような展開で、面白味がなかったらすみません。
しかし、スピカの物語的には大切なシーンなので
Side:Shadowでも再び書かせていただきました。

Side:Shadow スピカ編もいよいよ終盤に差し掛かろうとしています。
「思ったより本家と変わらない」のか、「思ってた以上に違う」のか、
それは人それぞれかもしれませんが、
ひとまず最後まで走り続けようと思います。



(Side:Shadowの今後)
スピカ編が終わったら、
スピカ編のオマケ的エピソードであるExtra Episode(仮)、
第6話「弱点」の別バージョンもやりつつ、
第2章の構想を練るために少しお時間をいただくと思います。

プロットはもうあるのですが、
第2章以降はスピカ編以上に本家になかった展開を取り入れていきたいので
相応に時間はかかる気がしています。

早く他のキャラクター達も書きたいですが、
あれもこれもやりはじめると、ぐちゃぐちゃになってしまうので、
1エピソードずつ、しっかり書いていく…予定です。
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